新聞の中の日本 2009.09.02
日本の総選挙の結果がドイツで大きく報道されていると、何人かの友人からメールが立て続けに入ってきた。今回の政権交代についてドイツの報道機関はおおむね好意的に捉えているけれど、実際はどうなのかと、いうような内容である。ドイツの全国紙である「南ドイツ新聞」や「シュピーゲル」といった雑誌のウェブサイトにも大きく報道されていた。
しかし普段はNIKKEIの株価以外、日本のことがドイツで報じられることはほとんどない。取り上げられるのは、皇室の話題や政治家の靖国参拝、あるいは地震や何か大きな事故が発生したときだけである。1998年にドイツで生活を始めたときも、新聞の中に日本を見つける機会はとても少なかった。そして、たまに日本の記事を目にしたときは、自分とは何の関係もない遥か遠い国の出来事のように見えることが不思議に思えた。祖国というと大袈裟だが、それが霞んで見えるような感じだった。
電子メールが普及し、ウェブサイトからも世界中の情報が簡単に手に入れられるようになったいまでは、海外の報道機関で報じられる日本の記事を見ても、かつての遠さは感じなくなってきてはいるが、なぜかアルファベットに囲まれた日本の写真を見ると、それを日本で眺めていたとしても、何となく遠い国のように感じてしまうのである。