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還流独歩

片付け 2009.09.20

午後から事務所の片付けを始めた。五連休とはいえ、そんなことをしている時間はないのだが、二年前に事務所を開設以来、資料や書棚の本をずっと整理したいと思っていたから、この機会に思い切って捨てることにした。本当は朝から始めたかったのだが、他の作業に押されて、午後遅くに手を付け始めた。恥ずかしいことに15年くらい前に集めた資料などが、日の目を見ることなく、ずっと書棚の中に埋もれていたことは自分でも驚きである。

こういった作業は一旦始めると大変なことになる。片付ける前まで置かれるべき特定の場所が決まっていた資料を、そこから引き出すと、周囲はあっという間に紙だらけになる。10年以上も必要とすることがなかった書類は、これから先も絶対に見ることもないと思うのだが、久しぶりに目の前に現れた資料を手にすると、何となく懐かしむ気持ちが起きてしまい、捨てるのがもったいないと感じてしまうから不思議である。

まずは、それらを三つに分類する。「まだ絶対に必要だと思うもの」、「絶対に要らないと思うもの」、そして「すぐには決められないもの」である。そう考えると、10年以上も見なかったもののほとんどは、どう考えても「絶対に要らないと思うもの」に分類される訳で、「まだ絶対に必要だと思うもの」に当てはまるものなど本当に少ない。「すぐには決められないもの」といっても、そのほとんどは要らないものだ。

それでも資料は、まだ思い切って捨てられる。もっと難しいのは本だ。読まないのに書棚の中にきちっと入っている本というのは、なかなか捨てられないものなのだが、今回は覚悟を決めた。書棚の本というのは、いったい一年間に何回くらい手にするだろう。そう考えると、私の場合、ほとんどないに近い。だから捨てるのはもったいないと思いつつも、むしろ頂いた絵はがきを引き立たせて飾れるような、何も入っていない余裕のある棚をつくる方が大切だと思えるようになってきた。

私が中学生のときの担任の先生が口癖のように言っていた言葉を思い出す。「あってもなくてもいいものは、なくていいんだ」。本当にそうかもしれないと、片付けながら考えた。

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