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還流独歩

imm – 国際家具展 2010.01.23

寒空の中、毎年この時期にケルンで開催されている、imm/国際家具展に行った。ほぼすべてのホールを使うこの見本市は、ケルンで行われる展示会の中でも、特に規模が大きく、また国際的にも有名である。

書きたいことは、展示の内容よりも、見本市に来ている人のことである。土日は平日よりも入場料が安いため、若い人から年配の方まで、たくさんの世代が来ているし、4人家族向けの割引券もあるから、子供連れの人も多く見かける。

例えば、7歳から16歳までの子供が二人いる4人家族の入場料は34ユーロだから、日本円に換算すると4500円くらいだろうか。それほど安くはないが、お弁当や飲み物さえ持ってくれば、一日、ゆっくり見て回ることができる。

ドイツには娯楽が少ないから、他に行くところがない。だからこういったところに人が集まる、というのは、そう間違っていないように思うが(失礼/苦笑)、それよりもデザイン性に優れた家具を、いろんな世代の人が楽しめる環境が整っているというのは素直に素晴らしいことだと思う。

若い男女やご夫妻、あるいは家族が、多様なデザインの家具を見て、それについて語ることができるというのは、とても恵まれている。もちろん、そんなに深い議論などはしないのではないかと思うけれど、いろんな意味で目が肥える環境に違いない。

日本には、お金を使う娯楽がたくさんあり過ぎるようにも思う。もちろん、お金を使わずに休日を楽しんでいる方もたくさんいるに違いないし、遊園地や動物園だって必要なことはわかる。

ただ、何となく行き交う人たちを見ていると、こういったデザインに触れる機会を通じて、感性とか、視点とか、ものの見方というものが育まれて行くのではないのかな、と感じられるのである。

そう考えると、日本にも美術館や博物館がたくさんあるし、デザインに触れる機会もきっとあるのだろうけれど、いろいろな世代の人たちが、機能とかデザインにしっかり触れることができる場所というのは、あまりないかもしれない。

日本だったら、美味しいものを食べに行ってしまうのかな(笑)。だから日本の人の食に対する感覚は世界一なのかもしれない。日本は「食文化」、ドイツは「機能美文化」ということにしておこう(笑)。

追伸:最初、「ドイツは美機能文化」と書きましたが、何かおかしいなあと思って、よく考えたら「機能美文化」と言いたかったのです。失礼しました(苦笑)。

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