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還流独歩

銭湯 2010.02.21

寒いので銭湯へ行った。学生の頃、風呂なしのアパートに住んでいたので、銭湯に行くのは慣れている。社会人になった年、そのアパートを建て替えるというので、やむを得ず引っ越したのだが、当時は生活費を少しでも節約したかったので、無謀にも、また風呂なしの部屋を借りるという暴挙に出た。社会人になっても風呂のない生活は不便だったけれど、いま思えば楽しかったように思う。

私が東京に出て来た1987年の入浴料は260円だった。いまは450円である。ちなみに10枚綴りの入浴券は4200円だ。誰もが知るように、東京の銭湯の数は減少の一途をたどって来た。東京公衆浴場組合は、会報誌の「1010(銭湯)」を発行したり、銭湯検定などを設けて銭湯の魅力を告知し続けているけれど、20年前に2000軒ほどあった銭湯は900軒くらいまで減ってしまった。

いやそれでも、まだ900軒もあると考えよう。夏の蒸し暑い時期、銭湯に立寄ってさっぱりしてから飲みに出かけるのも案外楽しいし、こういった冬の寒い時期は身体を芯から温めてくれる貴重な施設だ。湯船の端に座り、膝下だけお湯につけていると、次第に汗が出てくる。血液の循環が良くなってきてから全身入浴すると、お風呂から上がっても身体がすぐに冷えることはないようだ。

私の東京ベースキャンプ事務所がある中央区には10軒の銭湯がある。有名なのは銀座8丁目の金春湯(こんぱるゆ)や、銀座湯だろうか。私は10軒のうち、6軒に行ったことがある。残りの4軒は、築地や月島の方にあるので、なかなか行く機会がないのだが、銭湯愛好家の一人としては、せめて中央区の10軒は制覇する機会をつくりたいと思っている。

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