理念 建築 略歴 連絡
文章 視察 還流独歩 大福企画
還流独歩

地球の傾き 2010.02.22

ある写真家の方にお会いする機会を得た。3月5日からケルンで個展を開くという。その作品は、一日の太陽の動きを世界の世界中のあちこちで太陽を捉えた写真である。場所は東京だったり、ノルウェーのノールカップだったり、いろいろだ。正確な都市名は忘れたけれど、夏至に北緯23.4度の地点で捉えた太陽は、360度の天空を写し出した魚眼レンズ写真の真ん中を一文字に動いている。説明するまでもなく、真東から昇った太陽は、太陽高度を90度に保ったまま、真西に沈んで行く。

それにしても地球の傾きというのは、不思議というか、良くできているというか、実に巧妙である。地球の地軸が傾いていなかったら、四季は生まれない。地球上のどの地点でも、決まった太陽高度が一年中続くだけで、変化も何もない。もし、この傾きが23.4度ではなく、30度とか、45度だったら、四季の変化が激し過ぎることになるのだと思う。例えば日本だと夏はさらに暑く、冬はより寒くなるはずだ。もしかしたら生物は生きて行けない地域が極端に増えてしまうのかもしれない。

地球の地軸の傾きが気になったので、太陽系の他の惑星のも調べてみたら面白いことがわかった。ウィキペディアの情報が正しいかどうか不安なので、いくつかのサイトも見て確かめたところ、太陽系の惑星の地軸の傾きは以下の通りである。専門用語では赤道傾斜角と言うようだ。

惑星 赤道傾斜角[度]
水星 0
金星 178
地球 23.4
火星 25
木星 3.08
土星 26.7
天王星 97.9
海王星 29.6

水星と木星はほとんど傾いておらず、火星と土星と海王星は地球とほぼ同じである。面白いのは、天王星の地軸の方向が太陽に向いているということだ。何だか少し間抜けな感じがする。でももっと理解できないのは金星の178度だ。どうも他の惑星とは反対向きに自転しているらしい。とはいえ、各惑星とも、この角度で自転しているからこそ、太陽との均衡が保たれているわけだ。もし私にも人間軸の傾きがあったら何度くらいなのかな。私のことを良く知っている人からは、金星のように150度とか言われそうだ(苦笑)。

私は天体観測などには、あまり興味がないのだけれど、良く言われるように、地球に生物が誕生したのは、本当にたくさんの宇宙的な偶然が重なっていることがわかる。子供の頃、理科の時間とかで、地球の不思議について学んだことがあるはずなのに、大人になるにつれて、そういった神秘的なことには意識が向かなくなってしまう。もちろん私も同じだ。でも、普段からそんなことの面白さや大人としての感受性を忘れずにいたいと思っている。

今日は、その写真家の方とお会いしたお陰で、太陽系の不思議を再認識することができた。

加筆訂正:2010年8月3日(火)

« »