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還流独歩

週末の焦燥感 2010.03.13

個人で仕事を始めてから、生活のリズムは平日でも週末でも変わらないことが多くなった。それでも、やはり週末になると微妙に気が緩む。それは仕事をしなくてよいとか、作業から開放されるという気持ちからではなく、むしろ週末は平日にはできなかった作業をする時間が確保できるという変な安堵感からだ。でも、その平日にはできなかった作業が、本当に週末にできるかというと、実はそうではないことが多い。

打合せ議事録や備忘録をまとめておきたいし、翌週の打合せに向けた資料にも手をつけておきたい。片付かないまま溜まって行く机の上の書類にも目を通す時間が欲しい。講習に行ったときの資料も、必要なときにはすぐに探し出せるようにするのが理想だ。返信できていないメールも気になるし、デジタルカメラで撮った写真も整理したい。領収書も必要なものだけ分けて、その数が増えないうちにまとめておきたい。そう思っていても、なぜか全部は片付けられないまま、週末はあっという間に過ぎて行く。

週末こそ、そんなことを忘れて気分転換にでもどこかに出かければ良いのに、片付かないものが増えて行く机を見ると、そんな気も失せてしまう。気持ちは焦っているのに、進まない作業ばかりが溜まって行く。それを抱えたまま翌週を迎えると気分はさらに落ち込みがちになる。何のことはない、だったら何もせず気にしなければ良いのに、やっぱりできない。そんな自己矛盾と悪循環の繰り返しが続いている。

でも想い返してみると、組織事務所に勤めていたときはまったく違っていた。当たり前のことかもしれないが、週末は自分の時間に充てることができた。休日出勤したことも何度もあったが、それでも週末は仕事から解放されていた。どうしても終わらせられなかった仕事を自宅に持ち帰ったこともあったけれど、鞄から書類や図面を出したことは一度もなかった。いや、出すことができなかったと言った方が良いと思う。いまにして思えば、平日を乗り切るだけで精一杯で、週末にはそんな気力さえ湧くことはなかったのだろう。

いまは、まったく逆になってしまった。某会社の社長から届くメールに、「お金は貯められるけれど、時間は溜めておくことできない」と書かれていた。お金が貯まるならまだしも、書類を溜め込んでも何にもならないと思いながら、週末が過ぎて行く。

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