桜前線北上中 2010.03.27
3月も後半になると桜の話題が多くなる。今日も日本橋の浜町公園を通ったら、子供連れの家族が、咲きかけた桜の木の脇にあるベンチにお弁当を広げて、ささやかなお花見をしていた。桜の木が何本かあるだけで、そこが花見の場になるのは素敵なことだと思う。でも私は桜や花見に対する思い入れは、実はそれほど強くはない。
というのは、郷里の北海道で花見をしたという記憶が私にはないからだ。それは単に花見に行かなかったというだけのことで、北海道にも桜並木はあるし、毎年、花見をする人もいる。でもそんな習慣がなかった私が満開の桜を見たのは、東京に出てきたときが初めてだった。花吹雪のような桜並木を歩いたとき、内地(本州)の人が桜にこだわる理由がようやく理解できたのである。
3月に入り、天気予報などで繰り返し伝えられる桜前線や開花の時期を、子供の頃から毎日聞かされていると、桜は3月か4月に咲くもので、北海道には関係がないように感じていた。4月下旬に桜前線がようやく北海道に上陸したと聞いても、何だか他人事のように思えたし、5月の大型連休を過ぎてから桜が満開になっても、子供の私には興味の対象外であった。
北海道にも桜の名所はある。例えば日高の二十間道路は、その中でも一番有名だろう。桜並木が8kmほど続くこの名所にも私は行ったことがない。桜が満開のときの景色は壮観だと聞いているから、一度でも見に行っていれば、桜の奇麗さがわかったかもしれないし、花見というものも理解できたかもしれない。
この時期になると、東京に出てきたときに、卒業や入学といった人生の大切な節目の時期に桜が咲くことが、とても羨ましく感じたときのことをふと想い出すのである。
加筆訂正:2010年12月29日(水)