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還流独歩

突然の呼出し 2010.03.28

朝9時前、携帯電話が鳴った。ドイツの友人の名前が出ている。そういえば3月末にスイスの建築家を連れて東京に来ると言っていたのを想い出した。今日は彼らの到着を待って、それから都内を案内する予定だという。一緒に来ないかと訊かれたが、突然の連絡だったし、これまでも3回近く同行したことがあるので、今日は丁寧に断り、夕方の食事のときに合流することにした。

夕方、念のため予約してあるというお店に電話すると、19時から18名で予約が入っているという。予約の名前を確認してもらったら、彼らに間違いないことがわかった。10名くらいかと思っていたら、かなりの人数だ。一つのテーブルに座れる程度の5、6名なら話もし易いのだが、18名となるとなかなか難しい。

お店の人によると、食事はコースで頼んであり、飲み放題にしてあるとはいうものの、コミュニケーションを取りつつ、私が飲み物の注文を聞いたり、料理の説明などをすることになる。お店の方も英語が苦手だと、いろいろと私に訊いてくることも多いから、こういう場面では注文受付係と割り切っている。でも多少のアルコールが入れば、気難しく考えることなど無用だ。だから今日もその流れで行ってみよう。

今日は3月下旬とは思えないくらい寒い。19時過ぎにお店に着くと、彼らもほんの少し前に来たばかりだった。大テーブルと奥の座敷に別れて座っている。誰が誰だがわからないけれど、ひとまず簡単に挨拶をする。本当なら全員と握手しようかと思ったが、少し大袈裟になるかと思ってやめた。18人のはずが何人か少ない。そのうち来るのだろう。

ビールを飲みつつ、友人と簡単な近況報告をしあう。その間に飲み物の注文を訊いて、店員さんにお願いするが、15人近くもいると、私を通さず注文したビールも出てきてしまい、私の前には必ず数杯のビールが残される状況が何度かあった。それを奥座敷に座っている彼らに回したりていると、料理を食べる時間がない。やっぱりこういう状況になるのはいつものことである。

彼らと話すうちに、2人はルクセンブルクから来ているという。ドイツ語を話しているからわからなかったのだが、彼らはもちろんフランス語も英語もできる。そしてもう1人、バルセロナ出身の男性がいた。いかにもスペイン人な乗りで話し始めると止まらない。私も下手くそなフランス語とスペイン語を適当に混ぜつつ、他愛もない話で時間は過ぎて行く。

一次会の後半に、通路を挟んだ反対側に座っていた男女が私に声をかけてきた。どこの国の人なのかと訊かれたので、ほとんどスイスからだと答えると、その男性もスイスの出身で、フランス語圏のローザンヌから来たという。そこで少し話をしたあと、私がお手洗いに行っている間に、スイス人同士が合流して話し込んでいる。初対面でも簡単に打ち解けてしまうところはさすがである。

彼らは隣りのバーに行くというので、勢いでついて行く。そのあと何を話したか良く想い出せないけれど、結局、一次会も二次会も彼らにご馳走になった記憶だけは残っている。私にとって、東京でもドイツ語を話す機会が得られることはとても貴重な時間であり、有意義な時間を共有させてくれたことに対し今日もまた感謝したい。

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