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還流独歩

汗と扇風機 2010.06.28

夏の蒸し暑い時期に涼しさを得るためにはいろいろな方法がある。その代表的な存在が扇風機だろう。風を送るだけでは湿気は取り除かれないけれど、冷房のないところであっても扇風機というのは実に有難い存在だ。テレビなどの家電製品と同じように、扇風機がないという家は皆無に近いのではないだろうか。

例えば、暑い夏の日に外を歩いているときに、どこかで立ち止まったりすると、急に汗がたくさん出てくることがよくある。歩いていると代謝量が上がるが、風を感じるため、皮膚からは適度に熱が失われて行く。歩くのを止めてしまうと、代謝量の増加と熱の逃げの均衡が崩れるため、身体は一気に汗をかいて体温調節をしようとする。

改めてここで触れるほどのことではないけれど、人間の身体は本当に良くできていると思う。身体に風が当たれば熱が奪われることは当たり前だが、それでも十分な冷却効果がないときには汗をかくことで体温の上昇を抑え、逆に寒いときには身体を震わせて身体を温めようとする。

扇風機を使って涼しくすることは、身体にとって外的な働きかけであり、汗をかくという行為は、内的な自動機能によって生じる身体制御であることを考えると、手軽な扇風機も有難いし、人間の身体の素晴らしさも、改めて実感するのである。

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