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還流独歩

建築と食事と冷暖房設備 2010.06.29

昨日の続きです。

人間は汗をかくことができるが、そういった身体的な機能は建築にはまったく備わってはいない。建物の内部が暑くなったからといって、外壁が自動的に汗をかいて、室温調整をしてくれることなどあり得ない。最近は、細かな水を噴霧して周囲の気温を少し下げるという試みも増えてきているようだが、それは建築そのものの機能ではない。建物の外壁は、人間のような皮膚とは違うから、もし建物全体に風を当てられたとしても、内部が涼しくなることもない。

そこで、建物内の冷暖房に目を向けてみる。それは人間が冷たいものや暖かいものを身体の中に取り込むことと似ていると思う。つまり、建物の冷暖房に必要な化石燃料は、人間を例えると食事だといえるだろう。投入された化石燃料を消費し、排熱を出すことは、食べて消化して排泄することと何ら変わらない。そして大切なことは、どちらも排熱や排泄という「捨てること」が保証されているから成り立っている。どちらも似ていて面白い。

建物内部の温熱環境を調整する方法はたくさんあるけれど、機械的な設備もそんな見方をすると、少し親近感が湧いてくるように思う。

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