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還流独歩

国境なき建築師団 2010.09.10

お金がたくさんあったら私は何をしたいだろうか。金銭的に叶わぬことを夢見るのは自由だが、それはお金がないことの裏返しでもある。それはともかく、物欲があまりないと感じている私は、自由に使えるお金があったら何に使いたいのか考えるときがたまにある。世間で良く言われるように、100万円や1億円があったらどうするかという類いの話だ。

これは真剣には考えていないことなのだが、もし本当に大金を持っていたら、お金がなくて困っているどこかの国に出かけて、現地の人と一緒に建物をつくってみたいと私は考えている。そんなことできるわけはないかもしれないが、確か海外青年協力隊でも、それに近いような仕事を募集しているはずだから、まったくないとはいえないだろう。

ところで、国境なき医師団という団体がある。貧困や紛争などで命の危険にさらされている人たちに対し、国を超えて医師や看護師を派遣し、医療体制を構築するという人道援助活動の一環である。私とこの団体は何の関係もないし、協力もまったくしたことがないのだが、実はかなり以前から気になっている。

そこで私は「国境なき建築師団」というのを考えた。でも考えているだけで、まだ何もしていないし、これから先も行動に移す可能性は極めて低い。「国境なき医師団」に比べたら社会的な必要性は高くないし、お金がない国で何か緊急の建物をつくるというのも難しいと思う。例えば、災害地域での仮設住居の建設ならあり得るのかもしれないが…。

話を戻せば、そういった活動は、お金がないからできないというものではないだろう。もし本当に情熱があれば、たくさんの人に働きかけて「国境なき医師団」と同じように民間からの寄付で運営することだって可能である。できるかどうかではなく、やるかやらないかだ。でもいまは、できないことを資金のせいにしてしまう自分がいる。

いますぐにはできないけれど、いつかそんな活動が行えることを常に頭の片隅におきながら、しばらくは目の前の作業に取り組むしかない。そんな小さな願望をこれからも忘れないようにしていきたいと思っている。

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