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還流独歩

東京脱出 その1 2010.09.22

9月21日(火)に東京を脱出しました。といっても決して逃亡しているわけではありません。少しの期間、ドイツへ行くだけです。移動の様子を三回に分けて掲載します。順序が日付と入れ違いなので、いつものように読み辛くて申し訳ありません。

午前4時起床。半分寝ぼけた頭で出発までにやることを考える。成田の出発は11時50分だから、何もそんなに早く起きる必要はないのだが、朝はすぐに時間が過ぎて行くので油断は禁物だ。出発の朝というのは、ついあれこれ考えてしまい、荷物をまとめつつ、机を拭いてみたり、書類を整理したりしてしまう。その合間に現地の天候を確認し、何を着て行くべきなのか考えたりするかと思えば、急にお手洗いの掃除を始めたりして、自分でもわけがわからなくなる。普段の落ち着かない自分がさらに加速してしまうのは何故だろう。

上野発7時32分のスカイライナーに乗る。スカイアクセス線というのが7月半ば過ぎに開業して、成田空港までの所要時間がさらに短縮されたらしい。私はスカイライナーがスカイアクセスという名称に変わったのかと思っていたのだが、調べてみたら、新しい区間がスカイアクセス線というだけで、そこを走る空港行きの電車はスカイライナーという名前のままだった。それまで船橋を通っていたスカイライナーは、シティライナーと名称を変え、しかも本数が相当減ったようだ。つまりスカイライナーは、すべてスカイアクセス線を走ることになっただけの話なのだ。

それに併せて新型の車両を導入したというので、まだ半分寝ぼけている頭で車内を見てみたが、身勝手で非常に厳しい感想を言わせて頂くと、ただ新しいというだけで、私には特に何の良さも感じられなかった。しいて言えば各席にPC用の電源が備えられたことだろうか。厳しい意見の理由はただ一つ。これも誠に失礼なのだが、内装だけに限ってみると、ドイツ鉄道のICE長距離新幹線の方が遥かに優れているからだ。ドイツ好きの私がひいき目に見るのは許してもらうとして、やはりドイツの工業製品のデザイン性の高さは決して侮れないと私は思う。

これは開発にかかわった方々に大変申し訳ないのだが、新型スカイライナーは細部のデザインが詰め切れていないと感じる。例えば荷物置き場だ。こういったどうでも良いと思えるところには力が入っていないのが私にはすぐ分かる。本当はそうではないと思いたい。綿密な打合せを何度も繰り返し、相当な時間と労力をかけて考えられたはずだ。私は工業デザイナーではないから、こんなところで批判するのは実に失礼なのだが、でもやっぱり見えてしまう。例えば、荷物を固定するボルトの頭の処理の仕方などだ。もう少し工夫が欲しい。これはもうオタクのような話だろう。

開発に関わった人が、これを読んだらきっと怒ると思う。だったらあなたがやってみたらどうかと。もちろんできはしない話だ。話は急に展開するのだが、私だったら荷物置き場は車両の中央部に配置することを検討すると思う。国際空港へ行く人は大きな荷物を持っている人が大半なわけだから、乗降口の近くに荷物置き場があると、人の流れはそこで停滞してしまう。今日も日暮里でアナウンスがあった通り、荷物の整理はあとから乗って来る人が終わってからすべきなのだ。早く人を乗せたいのに、荷物を置く人に邪魔されて、後ろの人がすぐに乗れない状況に陥るわけだ。

そんなことを感じつつ乗ってみたが、在来線を走るから全然速くない。私は別に速くなくても構わないのだが、スカイアクセス線は時速160kmが売りのようだから、ときどき襲ってくる睡魔と戦いながら、その区間が来るのを待った。そして残り15分くらいで加速し始めた。確かに速いが、距離が短いので、私にとってはこれもそれほど特筆すべきことではなかった。ただ、成田は確かに近くなったと思うし、寝る暇もないうちにスカイライナーは成田空港に到着したけれど、2400円を払うくらいなら、従来の区間を走る1920円でも良い気がするのである。ああ、実に辛口な批評だ。京成電鉄、そしてこの仕事に関わった皆さん、勝手なことを言ってごめんなさい。

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