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還流独歩

ケルンで外泊 2010.09.27

午前中、隣町のレヴァークーゼンにある、バイエル社のコンツェルン・ツェントラーレを視察に行く。難しい名前だが、簡単に言うとコンツェルンセンターである。アスピリンで有名なバイエル社は巨大企業だから、その中枢となる管理部門の建物である。設計はヘルムート・ヤーン。夕べ見たケルン/ボン空港も、今日の午後に訪問するポストタワーも彼の作品だから、ヤーン氏も有難いと感謝していることだろう。

このツェントラーレは低層の建物で、上から見るとC字型をしている。その外壁はすべてガラスである。南側に設けられた中空層には巨大な日除けが内蔵され、北側のガラス面は、床面に設置されたバネの力をワイヤーに伝達し、引っ張る力を利用して支えられている。文章だけだから上手く伝えられないが、ともかく細部の緻密さを追求する情熱には頭が下がる。日本ではあまり紹介されていないが、見るに値する建築だ。

ケルン市内に戻り、昼食を取ったあと、ボンに移動する。ポストタワーは、ガラス建築の集大成と言われているくらい、何度来ても不思議な感動を与えてくれる建築である。高速エレベータでの移動は、何か映画を見ているかのような錯覚さえ覚える。写真を撮るといっても、すべてが日常からかけ離れている感じがして、次第に撮ることがためらわれてしまうくらい、「これでもか」という圧倒的な気迫さえ感じられる。

夕方、ボン市内に立寄ってケルンに戻る。夕食を終えてから、何名かで近くのビアホールに出かける。夏は皆、太陽を求めて外に飲みに行ってしまうので、大抵のビアホールは夜になっても空いているが、寒くなって来ると行き場がないので、ビアホールは冬の方が混んでいる。今日も空いているかと思ったら、ほとんどの席が埋まっていた。おつまみに、ムール貝のライン風白ワイン蒸しを注文する。ビールとの相性も抜群だ。ケルシュビアは今日も最高。

昨日に引き続き、ケルン市内で外泊である。ホテルの窓から見える照明に浮かび上がった大聖堂はとても幻想的だ。素晴らしい建築を体験して、ケルシュビアを飲んで、大聖堂の夜景を見て一日が終わるなんて、本当に贅沢で有難いことである。感謝。

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