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還流独歩

煮干の想い出 2010.10.06

ドイツで知り合った韓国の友人二人が、シュトゥットガルト大学の学生寮に入っていたのは、確か1999年の春頃だったと思う。同じ頃、私もシュトゥットガルトに少しだけ住んでいたことがあるので、彼らのところに、たまに遊びに行っていた。いまはあまり連絡を取らなくなってしまったが、当時は相談に乗ってもらったことが何度もある。

彼らの寮にお邪魔したとき、小さな台所の棚に煮干が入っているのを見つけた。彼らも出汁を取るときに使っているという。韓国の人も使うことをそのとき初めて知ったが、同じような食文化だから特に違和感などなく、「日本と一緒だね」と言って、私は袋に入っていた煮干を取出して、頭から数匹、おもむろに食べた。

ちょうどそのときドイツ人の女性が入ってきた。そして小魚を頭から食べる私を見て、一瞬、顔が引きつり、少し息を飲んだのがわかった。おそらく彼女にとって、信じ難い光景だったのだろう。私も別に煮干が大好きな訳ではないが、そのときは何となく食べてしまったのだ。でも我々の中では、日本と韓国ではごく普通のことだという認識で一致した。

昨日の夢で、魚市場が出てきたので、それがいつの間にか煮干へと展開してしまった。彼らとドイツで知り合ってから12年。本当にお世話になった。そして、いまだにお世話になりっ放しである。最近、連絡をとっていないので、近いうちに電話をしてみようと思っている。煮干の話は、多分忘れていると思うけど…。

加筆訂正:2010年10月12日(火)

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