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還流独歩

詳細検討の日々 2010.10.27

昨日着工した住宅の開口部の納まりについて、10月半ば頃からずっと詳細の検討を続けている。こういったことは設計の段階で詰めておけば良いのだが、実際には細部の詳細だけに時間を割くことはでいないし、他にも優先して解決しなければならない事項が数多くあるから、どうしても積み残しの作業が出てしまう。いまは、それらを解決すべき時期である。

詳細の検討といっても、私一人で解決できるものではない。建設会社と窓を制作してくれる会社との三者のやり取りが必要になる。施工図は、基本的には窓の制作会社の作業になるが、やはり自分でも図面を描いて、納まりをミリメートル単位で考えておかなければ、開口部全体の構成を把握することができないし、ましてや人に描いてもらった施工図を読み解く力も生まれない。

今回の物件には、大きな開口部が4か所ある。通常の窓であれば、施工図を見て、概ね問題がないことを確認すれば良いのだが、この大開口部については納まりが微妙なので細かな注意が必要なのだ。窓枠を固定する柱の仕上げはどうするのか、仕上げを施すと、開口部のレバーハンドルと当たってしまうので、それを解決するための方法、網戸とカーテンレールをどのようにして入れ込むべきなのかを考え、そして見栄えにも気を配る必要がある。

三者間の意見や問題点を調整し、少しずつだが先が見えて来た。でも不思議なもので、こういった作業始めると、頭の中に詳細図が焼き付いてしまって、頭を少し休めようと思っても静まらない。例えば「あの戸あたりの幅は、柱面と合わせた方が良いから、20.5mmを23mmに変更した方が良いかもしれない」とか、「窓上部の框の厚さは、カーテンレールを取り付けられることを考えて、やっぱり厚めにしておこうか」といったことが頭をよぎる。

そんなことを考えながら、図面を何度も訂正していると、半日など瞬く間に過ぎて行く。でもそれは他の設計事務所でも徹底的に行っている作業の一つだろう。開口部に限らず、詳細図面というのは描かれた線の一つ一つがすべて意味を持っている。それは紙と鉛筆で仕事をさせてもらっている設計事務所の重大な責任だ。無論、流動的な部分はどうしても残されるけれど、これからも気を抜かないで進めて行きたいと思う。

加筆訂正:2010年10月31日(日)

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