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還流独歩

天ぷらで極楽 2010.11.12

夕べのことである。いつもお世話になっている某協会の二名の方と浅草にて天ぷらを食すという貴重な機会を頂いた。目の前で揚げてくれる正統派の天ぷら料理というものを正しく頂くのは本当にいつ以来だろうか。かなり前に、誰かとどこかで食べたような記憶があるが、もはや忘却の彼方である。

一つ一つ順番に出してくれる揚げたての天ぷら料理は実に美味しい。寿司もそうだが、ゆっくりと食べながら、会話を楽しみつつ、次に出てくるのを待つその間合いというのは、実にゆったりとした気分にさせてくれる。こんにゃくの天ぷらも初めて食べた。下味をつけてあって旨い。

天ぷらというのは油っぽい印象があるが、名店と言われているところでは、そんなことはないのだろう。ここの天ぷらも何の嫌みもない揚がり具合である。それに合うのはやはり日本酒だ。普段は滅多に飲まないが、日本料理には日本のお酒に限る。日本食もお酒は世界に誇ることのできる奥の深い芸術作品と言っても決して大袈裟ではない。

それらの作品がたくさん食べられると聞いていたので、お昼ごはんも少し控えめにはしていたし、ある程度の覚悟はできてはいたが、最後の穴子が少々辛かった。それでも完食。もう十分というほど、たくさん頂いたけれど、お腹には全然もたれない感じがする。締めのメロンも冷たくて、口直しには最高だった。

今回お邪魔したお店の二階は、5−6名しか入れない大きさだが、客を入れ替えることはせず、夜は一回しか給仕しないという。それを聞くと何だか余計に贅沢な気分になってしまう。お寿司を食べる機会はあっても、天ぷらを頂くことは滅多になかったから、今日は本当に貴重な機会を頂戴した。しかもすっかりご馳走になり、心より感謝である。

加筆訂正:2010年12月17日(金)

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