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還流独歩

家具図作成 2010.11.20

今週半ばから、収納家具の図面を集中的に描いている。昨日も触れたように、いま工事が進んでいる住宅の居間に設置予定の壁面収納だ。いろいろな経緯から、置く場所をずらすことにしたため、再検討しなければならなくなったのと、現設計自体にも満足していなかったからである。

先日も書いたが、実施設計が進んでいるときには、時間的な制約もあって、いま一歩、踏み込んでは検討しきれないことが山ほどある、ここに来て工事が始まったこともあり、もう一度考え直す時間が少し取れるようになった。とはいうものの、家具の図面を描くのはそれほどたやすいことではない。

テレビとオーディオコンポーネントの他、電話やLAN、他にもノートパソコンやプリンタを置く場所を確保しつつ、収納棚を適切に設けた家具を考えるというのは時間がかかるものだ。いろいろなサイトには数多くの事例が掲載されていて参考になるが、それらは完成された家具だから、状況としてはかなり違う。

少々大袈裟な表現になるが、世界に一つしかない家の中に設置する家具も、二つとない大量生産のできないものである。家計簿が付けられる小さな家事机があった方が良いのではないかと考えて、それを入れ込んだり、扉で閉じてしまう収納以外にも、写真などを飾ることのできる小棚をいくつか配置する案にした。

出力した図面を眺めつつ、方向性を確認しながら作業を続けていると、少しずつだが家具としての締まりが出てくる。建築主の意向を汲み取りつつ、自分が自信を持って勧められるものにしなければならならない。多くの建築家が家具の設計にものめり込んで行くのは、自らの建築に対して相応しいと思えるものがないからだろう。

私はそんな水準にはまったく達してなどいないけれど、一人の設計者として、いまこういった作業ができることに感謝したいと思う。

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