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還流独歩

若き代表取締役 2011.01.14

以前、勤めていた設計事務所の社長から会食のお誘いを頂いた。私が退職する直前に携わっていた再開発の仕事をまとめていた方で、50代という若さで数年前に代表取締役に就任したのである。それを知り、私はかつての職場に挨拶に行ったことがあった。

私が入社してから、まもなく20年が過ぎようとしている。そして事務所を退職してから過ぎた時間は、勤めていたときの期間の倍近くになった。それでもこうしてお声をかけて頂けるということは、実に月並みな表現だが、本当に有難いことであり、感謝の気持で一杯である。

今日は設備設計部の部長の他に、入社してまもない若き設備設計者を何人か連れて来てくれるという。しかも全員が女性らしい。私がいた頃の設備設計の部署は皆、男性だった。女性は事務の人だけで、実際、そんなものだろうと思っていた。

女性の設計者といえば、アトリエ事務所や組織事務所に限らず意匠系にはいるが、設備設計とか構造設計を行う人のほとんどは男性だと言って良いと思う。でも女性に向かない職種というわけではないから、最近は男性だけの世界ではなくなって来ているのだろう。

何年か振りに会う社長は、一緒に仕事をさせて頂いていた頃と何も変わっていない。しかも年代が比較的近いから、代表取締役というより、いまでも一人の先輩のように感じてしまうのだが、それは気さくで話しやすく、そして柔らかな雰囲気を持つ方だからだろう。

最初はいろいろな質問を頂いたので、それに答えていたが、美味しい料理を頂きながら、話題は次第にあらゆる方へと展開して行く。それを聞いていると、会社の様子が何となく読み取れる。風通しの良い会社という表現があるが、新人の女性たちからもそんな雰囲気が感じられる。

仕事の話はあまりしなかったが、それなりに忙しいようだし、いま入居している建物の上階が空いたので、そこも借りて、執務空間を拡大するらしいことも聞いた。数年間に役員の若返りを行ったことは、新しい機運を導く的確な転換期になったようだ。

いつでも気兼ねなく顔を出しに来たらいいよと言ってくれる、その気持に感謝するとともに、退職した会社と、こうしていまでもつながりを持てることは、何にも代え難いことの一つだろう。新年を迎えて多忙な日々の合間に、こうして会う機会を頂けたことに対し、心より感謝したい。

2月に入ったら、また顔を出しに行かせてもらおう。

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