建築見本市BAU その3 2011.01.22
一昨日と昨日の二日間、BAUを体験して感じたことを簡単にまとめたい。まず、多様な職種の人たちが来ていることを挙げたい。見本市が終了したあとの詳しい情報は確認していないし、会場には仕事上のおつきあいの人が大半なのかもしれないが、それ以外にも、現場で働く職人さんや学生、そして家族連れなど、幅広い層の人が来場している。
この見本市への入場料は、一日29ユーロであるから決して安くはない。日本のように無料で入れるわけではないのだ。もちろん私のように企業からの招待状を手に来場する人も多いとは思うが、お金を払ってしっかり見るという基盤が出来上がっているのだろう。もはや仕事というより、展示会を娯楽のように楽しみに来ているようにさえ見える。
次に挙げられるのは、多くの国からの来状があることだろうか。ドイツは欧州の中心に位置しているから、日本とは大きな違いがあるのはもちろんだが、会場内を歩けば、フランス語、オランダと、イタリア語、ロシア語が周囲から聞こえて来る。それは他の見本市でも同じであり、やはりドイツは欧州を牽引する国の一つであることを再認識する。
三つ目は木造建築に注目が集まっていることである。ドイツはいまでも組績造が大半を占めており、簡単に言うとブロックを積みあげた建物が多い。木造建築は10年程前までは、市場の15%程度と言われていたが、徐々に増えて来ておいて、現在では、おそらく20%近くまで延びて来ているのではないかと思われる。
その理由はいくつかあると思われるが、まずは自然素材であることが大きい。これは何にも代え難い木が持つ大きな特徴の一つだ。次に、ドイツは断熱を促進しているため、新築だけでなく改修においても断熱材の厚さが年々増して来ている。最近は、30cm程度が主流になりつつあるため、間柱間に断熱材を入れられる木造が有利なのである。
ドイツの場合、組積造の外壁の厚さは25-30cm程度が一般的であるから、その外側に30cmの断熱材を施すと、壁厚が60cmを越えてしまうことになる。無論、その方法で施工されている事例は数多くあるが、構造体が60cm以上になることは、建設費の上昇につながる。無論、木造の壁厚も増すが、組積造ほどではない。
また木造の場合、充填する断熱材も自然素材が使われる方向に向かっている。ドイツでは、グラスウールはほとんど使われておらず、主にロックウールや鉱質系の断熱材の使用が半分以上を占めている。その次はEPSと呼ばれる発泡スチロールである。木造には、やはり木質系の断熱材を使いたいという要望があることはまさに自然の流れだろう。