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還流独歩

完成見学会 その1 2011.02.26

建設会社の主催のもと、今日と明日、完成見学会を行う。長期優良住宅の補助金を受けているため、施工の途中段階での構造見学会と、最後の完成見学会は必須なのである。だから設計を担当した私が開催するわけではない。もし義務でなければ、いわゆるオープンハウスなるものを行ったかどうかは自分でも良くわからない。建築主から許可を頂き、あくまでもその好意を受けて開催するものであるから、単に見に来て欲しいと思うのは、設計者や建設会社の我が侭に過ぎない面はあるだろう。それでも、いろいろな人に見に来てもらって、意見や感想を聞かせてもらうことは大切なことだとも思う。もちろん、良い感想を持たない人は本心を伝えないだろうし、逆もまたあり得るだろう。

今日は夕方までに来たのは10数組くらいだったと思う。私はあくまで補佐的にいるのだが、見学の人がまとまって来ると、どうしても対応せざるを得ないし、長くいる人もいれば、意外と早く帰ってしまう人がいるから、ほとんど話せない場合もある。いつか家を建てたいと思っている人、近いうちに家を建てることが決まっている人、まもなく着工するという人、もう家を建ててしまった人。いろいろな人が来た。そんな中で、私の話に熱心に耳を傾けてくれる人に対しては、設計の背景や方向性、そして解決方法などを熱く語ってしまう。もちろん、そんな話を聞かされることが苦痛に感じられる人もいるだろうから、それなりの加減をするし、相手によっても説明の密度は異なる。

面白いのは、関心を寄せる対象が人によって大きく異なることだ。家全体の雰囲気や大きさを確かめる人もいれば、間取りを気にする人や、あるいはキッチンの収納に機敏に反応する人もいる。その一方で、女性であっても、キッチンに何の関心も示さない人もいる。あるいは家の中の明るさや、吹抜けの機能について理解を示す人もいれば、建て主の家族構成や、子供部屋のつくりについて質問する人もいる。それを挙げ始めたら切りがない。家に対する思いや価値感などは人によって大きく異なるから、あたり前の話なのだが、ご夫妻で来られた方というのは、家の見方がとても似ている気がするのである。

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