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還流独歩

ISH 2011/国際衛生空調展 その4 2011.03.22

ISHでは、暖房設備と同じように重要なのが衛生機器関連である。水廻りに対する展示は一般の人にとって、普段の生活において特に身近に感じるものの一つだから、来場している人たちの関心は実に高い。それは日本も同じだと思うが、家族連れや女性が仲間同士で見に来たり、学生や若い夫婦の人たちが楽しみながら見学している。

Hans Groheや、Villeroy & Bochなど、大きな企業の展示はいずれも巨大で、趣向を凝らしたものが多い。水栓やシャワーなどは、節水型であっても十分な水勢が確保されることがわかるように、実際に水を出して確かめることができるようになっている。私も試したが、水栓は毎分5リットルでも十分であることがわかった。

一般にドイツの人はお風呂には入らず、普段はシャワーだけ浴びるという人が実に多い。日本のように浴槽と洗い場が一体となった浴室というのは、おそらく皆無だろう。日本とは浴室のつくりが大きく異なる理由は、文化の違いとしか言いようがないが、それでも展示内容を見ると、浴室にもかなりの充実度が求められていることがわかる。

またシャワーブースの進化もめざましい。この10年程は透明感が溢れるデザインが主流であり、いずれも大型化して来ている。実際の需要がどれ程あるのかまではわからないが、日本でも高級なシステムバスに憧れてしまうように、ドイツでもシャワーや浴室のしつらえは大きな関心ごとの一つであることが伝わってくる。

それから日本で幅広く普及している洗浄便座は、ヨーロッパで見かけたことは、これまで一度もなかった。数年前に、ドイツのある企業が展示しているのをどこかで見かけたが、今回のISHでは、いくつかの企業が参入していた。だたどこも様子見といった感じに見受けられたが、保守的な欧州で、洗浄便座がどこまで普及するのか関心のあるところだ。

帰りはライン川沿ではなく、高速幹線を走るICEでケルンへ戻って来た。僅か一日だったが、フランクフルトで開催されたISHを訪れることができ、いろいろと勉強になった。こういった機会は、できるだけ逃さず、やはり自分の目で見て、考えることが重要だということを再認識した次第である。機会があれば何らかの方法で報告したいと思う。

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