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還流独歩

小銭は万能 その2 2011.03.24

郵便局にある切手の自動販売機は、いまだっておつりが出ない。75セントの切手が一枚欲しいのに、1ユーロしか持っていない場合、おつりの代わりに25セントの切手が出てくる。それを拒む人は切手は買えない。仕方なく1.5ユーロを入れて、75セント切手を2枚買うことになったりもする。切手を多く買わせるには実に良い作戦だ。

それが日常だから、小銭を常に持ち歩くか、あるいは持って出られるように常備しておかなければならない。ドイツの人の多くがそうしているかどうか、私はよく知らないが、私は小銭がないといつも不安になる。通貨がユーロになってから、小銭はさらに重くなった。それでも小銭は常に携帯するのが鉄則だ。

ケルンを代表するような大きなビアホールに行けば、お手洗の入口の前に掃除の女性が座っていて、そこには小銭用の皿が置いてある。そんなところで、5ユーロ札を出して、おつりとして4.7ユーロをもらうことほど野暮で恥ずかしいことはない。30セントくらい奇麗に出して立ち去りたいものだ。小銭がなかったらダンケと言って済ますしかない。

そして私はいつしか、できる限り小額のお札もたくさん持つようになった。会計のとき、高額の紙幣を出すより、小額のがたくさんあった方が何だか格好がつくのだ。それは私だけの感覚なのかもしれないが、食事に行けば心付けを渡すのが常識だから、会計に見合った額の紙幣を取り揃えて、それに小銭を添えるのが正しい姿のような気がする。

その一方で、ドイツは銀行のカードで支払える場所が増えた。スーパーでも飲食店でも、あるいは駅やインターネットでも、銀行のカードで支払うことが可能だ。だから常に小銭を用意しておく必要性は低くなってきているとは思うが、普段の生活の中で、小銭がないと不便なことはまだまだたくさんあるように思う。小銭あれば憂いなしである。

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