理念 建築 略歴 連絡
文章 視察 還流独歩 大福企画
還流独歩

Rimowaの対応 2011.03.25

先日、フランクフルト空港に到着してスーツケースを受取ったら、車輪の側面についている丸いカバーが一つ取れていた。運ぶときの衝撃か何かで取れてしまったのだろう。タイヤのホイールのようなものだから、なくても大丈夫だが、やっぱり格好悪い。ただ、それ以外は問題なかったし、早く電車に乗りたかったから、仕方ないと思いつつ、ケルンに着いてから何とかしようと考えた。

以前にも書いたが、Rimowaはケルンに本社がある。そして、これもしつこいが、社名の発音は「リモワ」ではなく「リモーヴァ」である。「ヴ」なんて発音は日本語にはないと非難されようが、ともかく「リモーヴァ」なのだ。日本でもあちこちで飲めるようになった小麦のビールは「ヴァイツェンビア」であって「ワイツェン」とは言わない。いつだったか東京のドイツ料理店に行ったら、お店の人が「ワイツェンビールは…」と言っているのを聞いて私は憤慨した。

ここで話は大きく脱線する。「バイエルン・ミュンヘン」を「ババリア・ミュニック」と英語読みする人はいない。「BMW」は「ベー・エム・ヴェー」であり、「SIEMENS」は「ジーメンス」である。だから、些細なことだが、ドイツ料理の店が「ワイツェン」と言うのは実に許し難い。「ヴァ」の発音ができなかったら「バイツェン」でもいい。お店の方に、よほど忠告しようかと思ったが、大人げないので止めた。

ということで、ケルンに着いて数日してから、カバーが取れてしまった車輪の写真を撮り、メールに添付し、事情を簡単に書き添えて「リモーヴァ」に送った。実は以前にもメールで問い合わせたことがある。そのとき丁寧に返信してくれた方がいたので、代表のアドレスと一緒に、今回もその人に送信してみた。今週の月曜のことである。そうしたら、翌日の火曜の朝に、「これから手配してすぐに送ります」という返信が返って来た。実に素早い対応。

そして今日、カバーが届いた。全部で4つ入っている。外れたところに早速付けてみた。完璧である。残りの3つは不要だが、また取れてしまうかもしれないから、スーツケースの中に入れて、いつも持ち運ぶようにしておこう。もちろん、車輪が曲がったりするような壊れ方をしたら意味がないが、折角、送ってくれたのだから入れておけば良い。それにしてもRimowa/リモーヴァの対応は素晴らしい。5年保障らしいが、実際には、使い続ける限り、ほぼ無料で修理してくれるようだ。

その一方で、いろいろな人が、Rimowaは良く壊れると言っている。確かにそれはあるかもしれない。私も本社工場で何度も修理してもらっているが、そこの対応も早い。他のメーカーのことは知らないが、スーツケースというのは、どこかが大きく破損してしまったら、それを直して使うことはあまりないのではないだろうか。Rimowaは、壊れたら直す。使えるものは手直しして使い続ける。それは、既存の建築を大切に残し、改修して新たな息吹を吹き込むことに通じている気がする。

私はRimowa社から宣伝を依頼されているわけではないし、人に薦めるつもりもない。ただ、ケルンの会社だから、これからも応援して行きたいと思っている。ともかく、Rimowaの対応に感謝である。そして最後に、「Rimowa」をまだ「リモワ」と読んでいる方、「リモーヴァ」です。

« »