理念 建築 略歴 連絡
文章 視察 還流独歩 大福企画
還流独歩

ドイツの住宅戸数 2011.03.26

ドイツは他の欧州の国と同じように、都市部では集合住宅が隙間なく建ち並んでいる。一つの街区を低層の集合住宅が取り囲むように建てられているのである。日本は東京のような大都市を除けば、政令指定都市でも街の中心部に戸建てがあることは珍しくないが、ドイツで戸建てを探そうとすると都市の郊外に出なければ見つからない。

以前から、集合住宅と戸建ての比率について調べてみたいと思っていたが、その時間が取れなかった。今日、他の調べものもあるので、午後からドイツ統計局が公開している資料を検索し始めた。でも、必要な統計を見つけるのは簡単ではない。こういう作業は時間も集中力も必要とするものである。しばらくして、これだと思われる統計が出て来た。

以下は、その概要である。

▼住宅棟数
ドイツの「住宅棟数」は、約1,800万棟あり、そのうち一戸建ての比率は約63%である。一棟に二つの住居がある、いわゆる二戸一住居が20%、三戸以上が入居する集合住宅が、おおよそ17%であることがわかった。棟数で見ると、一戸建てが約1,140万棟、残りの二戸一住居と、それ以上大きい集合住宅は、それぞれ約360万棟と300万棟ということになる。

▼住宅戸数
一方、「住宅戸数」の総数は3,939万戸である。一戸建ては一棟が一住居と考えられるから、戸数は前出の棟数と同じで1,140万棟で、その割合は29%である。二戸一の住戸比率は18%で、約720万戸、三戸以上が入居する集合住宅の中の住戸数は全体の半数以上である53%を占め、戸数は2,080万戸である。

▼床面積
すべての住戸の床面積の合計は34.1億㎡と試算されている。その比率を見ると、一戸建てと三戸以上の集合住宅が、それぞれ40%と41%で、ほぼ同じであることがわかった。その床面積は、それぞれ13.8億㎡と13.9億㎡である。また二戸一の比率は19%で、床面積は6.4億㎡である。

▼日本との比較
日本の総務省統計局が公表している資料を見ると、2003年(平成15年)の住宅総数は4,686万戸あり、そのうち一戸建ては2,649万戸と示されているから、その比率は約57%である。それに対し、長屋と共同住宅の数は約2,022万戸で、43%を占める。大雑把に目を通しただけなので正確さに欠けるかもしれないが、おそらく正しいはずだ。

以上の結果を大雑把にまとめると、ドイツの一戸建ての割合は約3割で、残りの7割の世帯は二戸建てを含む集合住宅に入居している。一方、日本では一戸建てが約6割、集合住宅が4割ということになる。つまりドイツでは、集合住宅に住んでいる人が大半を占めており、日本の住宅は半数以上が一戸建てであることがわかる。またその数は、ドイツの1,140万戸に対し、約2.3倍である。

加筆訂正:2011年5月5日(木)

« »