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嗜好の変化 その2 2011.03.30

本来、書こうと思っていたことから、いつの間にか内容がずれてきてしまった。何を言いたかったかというと、ドイツにいるときには日本食が食べたくなり、日本にいるときにはドイツのパンや料理が恋しくなったりするということだ。私は日本食の文化が世界一だと思っているし、大抵の日本の方もそうだと感じているのではないかと思うので、日本にいてドイツの味を求めてしまうのは変だと受取られる向きがあるかもしれないが、なぜだかそうなのである。

隣りの芝生は青く見えるという例えは、この場合、当てはまらないかと思うけれど、特に味覚については、環境の変化に応じて、実際には得られないものが欲しくなるのかもしれない。日本のスーパーやコンビニエンスストアに並ぶパンは、どれも押し潰したらサイコロくらいの大きさになってしまいそうなものばかりだ。日本で売っているパンは、日本人の口に合うように進化して来たから、それを揶揄したいのではない。ただ、ドイツのパンが欲しくなるだけなのだ。

そういう反面、おかしなことに、日本にいると正しい日本食を食べたくなる欲求が、ふとしたときに倍増されることもある。醤油味のうどんが妙に食べたくなったり、蕎麦の存在が偉大に思えて来たりもする。あるいはその逆で、ドイツにいるときにパン屋さんの前を通ると、バターをたっぷり塗り付けたパンに、チーズとサラミと菜っ葉とトマトを挟んだブロートヒェンが無性に食べたくなったり、チョコクロワッサンがとても魅力的に見えたりする。

こうなると、置かれている環境が正反対になったときに嗜好の変化も180度近く対峙してしまうのに対して、それを通り越し360度一周して元の環境に戻ったときに、嗜好が倍加するということもありうるということだろうか。簡単に言えば、日本に戻ったときに、日本食の有難みがより一層わかるということなのかもしれない。食べ物のことを難しく語るつもりはないけれど、そんなことを思ったりするのである。

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