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還流独歩

電気料金の徴収方法 その2 2011.04.12

この方式は実に合理的だ。検針は年に一回だから人件費もかからないし、各家庭に毎月、電気使用量と料金を知らせる必要もない。請求が年一回とはいえ、原油の価格の変動なども、その都度反映される。ただし、検針が年に一回だと、どの月にどれだけ電気を使ったかはわからない。そうなると原油の価格を反映した電気料金の変動を、月ごとの使用量に反映できなくなるが、年間の電力消費量を12か月で割り、平均化するという手法を採用すれば解決するし、実際、その方式を採用している。

ドイツは暖房が主体の国であり、一般的な家庭における電力消費量は、年間を通じて大きな変化はないといえるが、日本では季節毎に電力需要が大きく変化する傾向にある。特に夏の蒸し暑い時期には冷房用の電力消費が増加するため、春や秋といった冷暖房が不要な期間と、電力需要が高まる時期の需要の差が激しい。だからといって、毎月の検針が必ずしも必要かというと疑問が沸く。季節ごとの電力消費量が大きく変化したとしても、ドイツのように、住戸の形態に応じて、年単位での電力需要を推測することは大いに可能であると思われる。

日本では戸建てやアパートの場合、電力計は誰もが見ることができる屋外に設置してある。これはガスでも水道でも変わらない。だから毎月の検針もそれほど難しくはないし、極端なことを言えば、他人の家の電力消費量を確認することさえできる。一方、ドイツの場合、電線などがないため電力系統も地下から引込まれるから、ほとんどの電力計は地下室にある。そうなると検針が年に一回しかできないというのも頷けるし、その方が合理的ということになる。

毎月、定期的に検針する日本と、年に一回しか検針しないドイツのどちらが良いかは一概には決められないが、一人暮らしのアパートとか、あるいはマンションや戸建てであっても、月々の支払い額を先に決めて、年一回の検針によって増減を決めても良いのではないかと思う。多分、毎月の電力消費量を気にしなければならない生活形態と、電気の請求は年に一回でも特に困らない環境の違いなのかもしれないが、何だかそんなところに、社会基盤の一端の違いをかいま見る気がするのである。

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