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還流独歩

閉店時間 2011.04.30

2009年12月6日に「閉店法」ついて書いた。私はドイツの法律には詳しくはないので、普段もあまり気に留めてはいないが、お店が閉まる時間は生活に密接に関係しているし、ドイツは日曜には買物ができないから、平日の閉店時間については常に頭に入れて置くべきことの一つである。

先日、友人たちと夕食をして、途中まで車で送ってもらったときに、以前、よく買物に行っていたスーパーマーケットにの前を久しぶりに通った。人間というのは不思議なもので、生活の形態が少し変わるだけで、それまで日常的に行っていたことから急に疎遠になってしまったりする。このスーパーにも、もう何年も足を運んでいない。

夜の空気に触れながら心地良い気持になりつつ、そのスーパーの前を通り過ぎようとしたら、土曜の深夜に近い時間なのに中に人が何人もいる。今日は特別に閉店時間を遅らせているのかと思ったら、入口の近くに「新しい営業時間:月曜から土曜まで連日7時から24時」と大きく書かれている。

まったく知らなかった私は実に驚いた。ドイツのスーパーでも、ついに深夜0時まで買物ができるようなったのである。 しかも早朝7時から開いているというのは余りにも早過ぎる気がするが、それにしても閉店時間が24時というのは、この国の生活形態を考えると、いくらなんでも遅すぎはしないだろうか。

ドイツには、日本のように深夜まで営業しているスーパーやコンビニエンスストアなどないから、これは画期的なことであろう。それでも習慣というのは不思議なもので、夜遅くまで開いていることを知っていても、遅い時間に買物に行こうという気にはなれないものである。

そういえば、ケルンに引っ越して来たときのことを想い出した。その日、荷物を全部運び込んで、借りたレンタカーを返し、ともかく何かを買い出しに行こうと思って、20時閉店の数分前に、このスーパーに駆け込んだときのことである。女性の店員がやって来て私に向かって言った。「閉店よ。私たち帰る時間だから」。

まもなく閉店すると言いに来たのだろうとは思ったが、帰宅時間だと宣言されるとは予想もしていなかった。何もそこまで言わなくてもと思ったが、事実だから仕方がない。そのスーパーは、その後、22時まで営業時間を延ばし、そして今度は24時までになった。

もう、10年以上も前のことだが、 あのとき焦って駆け込んで、店員から叱られたことが懐かしく想い出される。
 
加筆訂正:2012年6月24日(日)

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