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還流独歩

dena – ドイツエネルギー機構の取組み 2011.05.09

これまでいくつかの媒体に対して、ドイツの住宅改修の事例について報告する機会を頂いた。ドイツでは、断熱性の悪い住宅の改修に力を入れ続けており、その取組みは国家的事業に位置づけられている。ドイツは暖房が主体の国であるから、そのすべてを参考にすべきかどうかの議論があるが、政府が率先して新たな基準を策定し、それに準拠させるのと同時に、低金利融資や補助金といった金銭的な援助を行なっていることは極めて重要な示唆を与えてくれるものと思う。

以下、概要だけになってしまうが、翻訳文を掲載する。

「賃貸式集合住宅におけるエネルギー消費削減改修に関する経済性について」

既存住居を低燃費建築に改修することは、dena/ドイツエネルギー機構の研究課題の一つである。当機構では、第二次世界大戦前から1970年代にかけて建設された賃貸住宅における大規模な省エネルギー改修にかかわる経済性について調査を行なっている。その結果、集合住宅の省エネルギー改修は、貸し主と借り主の双方にとって重要であることが示されている。

改修が必要な建物のうち、KfW銀行が支援する「低燃費建築70」に準拠した改修では、貸し主、あるいは借り主に過剰な負担をかけることなく、エネルギー消費を約75%削減することが可能となる。気候変動を抑えるためドイツ政府が2050年までに進めようとしている「低燃費建築55」では、家賃の増加を微増に留めながら、エネルギー消費量の削減幅を80%にできる。エネルギー価格が上昇した場合、その消費量が抑えられるため、家賃の増加分は結局は相殺されることになる(家賃の増加分とエネルギー価格の上昇は比例すると考えられる)。

この調査結果は、当機構のモデル事業である「既存住居の低燃費化」の一環として、約350棟の既存住居を対象として行なった省エネルギー改修事例に基づいたものである。

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