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還流独歩

5月だ北海道 2011.05.22

東京には21日(金)の早朝に到着し、そのあと無謀にも泳ぎに行って時差ぼけを解消しようとしたが、今回はどうも無理のようだ。東向きの長時間の移動で、しかも目的地に朝早く到着する場合、時差が体調に与える影響は、西向き、あるいは夕方に到着するときより大きいような気がする。

その日、東京で一泊したあと、昨日土曜の夕方の便で北海道へ移動した。降り立った千歳空港は少し肌寒かった。到着口には、どこから来たのかわからないが、年配の方が多い団体客が旗振りの女性に連れられて、これからどこかへ移動するところだった。この時間に到着だと今日の宿泊は札幌なのだろう。

今回は特に大きな予定はないが、3月に竣工した住宅の現状確認と、追加工事について軽い打合せなどを行なった。ほんの小さなことでも、いろいろと話すことで、ある程度の方向が見えて来る。設計は喋ることだという一面があるが、確かにそうかもしれない。

今日は午後から晴れてとても気持ちの良い青空が広がっている。気温はまだ少し低いが、北海道にも田植えの季節がやって来た。樹々の芽も本格的に吹き始め、森は新緑に包まれている。梅雨のない北海道は、これから素晴らしい季節を迎える。今年の夏は、知床などに行ってみようか。

いま、故郷に帰りたくても帰れない人がたくさんいる。その気持ちを私が理解することはたやすいことではないし、その状況を変わってあげることなどできない。それを思うと、生まれ育った大地を、もう一度、この目や身体を通して記憶に留めておく必要があるのではないかとさえ思うようになった。

昨日と同じ今日があり、今日と同じ明日が来ること。あるいは、去年と同じ今年があり、今年と同じような来年が続いて行くことは、自然の営みの中で最も大切なことなのかもしれない。山の緑、水が張られた水田、初夏を感じさせる陽射しと柔らかい風を受けると、そんなことを感じずにはいられないのである。

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