木造住宅を手がける建設会社 その2 2011.06.10
日本の場合、構造用合板は外側に施すのが一般的だが、ここではOSBと呼ばれる合板を壁の内側に張っている。また、外壁からの水の進入を防ぐために、通常は透湿防水シートを外側に張るのだが、それも用いていないばかりか、室内側にも気密用のフィルムを使っていないという。
この辺の見解については、多くの意見があり、日本の気候風土にふさわしい壁の仕様については、これまでもずっと議論されて来た。でも、この木造建築を手がける建設会社では、外側にも内側にもシートと呼ばれるものを一切使っていない。それは外壁内外の透湿性を確保するためだという。
気密はどのように確保するのかを訊きたかったが、残念ながら聞き漏らしてしまった。ただ、構造用合板を内側に用い、しかも断熱材の厚さが300mmほどあれば、シートを使って気密を高めるという方法が不要になってしまう可能性もありそうだ。でもそれが正しいかどうかはわからない。
また、断熱材も間柱間には古紙を中心とした繊維系のものを使い、外側も木質繊維系を使っている。EPSなどの断熱材は透湿性の問題があるということと、木造住宅では、やはり自然素材を用いることが求められると言う。木の家を建てたいという建築主は、断熱材にも自然系のものを使いたいという要望があるのは、まさに自然なことだと思う。
それから窓は、3層のLow-E蒸着が標準で、物件によってはアルゴンガス封入も用いている。壁の断熱性能が上がれば、それに併せて窓も同様に対応しなければならないのは当然のことである。もっとも、壁の断熱性があまり高くない改修物件には、複層ガラスを使用することもあるようだが、基本はもはや3層ガラスである。
他にも防火のことや、外装材の仕上げについても訊いた。木造建築では、木質系の断熱材を用いた湿式外断熱構法も一般的であり、またいわゆる乾式仕上げも併用されていることが改めてわかった。他にも多くの質問をしたかったが、残念ながら、時間も限られていることもあり、今回は短時間の訪問となった。
ともかく、今回もこのような貴重な機会を頂き、非常に勉強になったとともに、新しいつながりも得られたように思う。心から感謝申し上げる次第である。