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還流独歩

駐車場争奪戦 その1 2011.06.15

ケルン市内はどこもそうだが、駐車場を見つけるのに一苦労する。特に住居密度が高い地区は、夕方になると駐車場争奪戦が始まる。日本のように、どこかに有料の駐車場が整っているわけではないし、最近できた集合住宅には地下駐車場が完備されているところが多いものの、その数は極めて少ない。しかも停められるのは、そこの住人だけだから、大抵の人は道路の脇に車を停める、いわゆる路上駐車が車庫のような状態となる。だから仕事が終わる時間帯になると、空いているところを探して、多くの車がひたすら走り回ることになる。

今日は、まさにそんな体験をさせてもらった。明日、建築現場を視察するためフランクフルトに行くので、20時前にレンタカーを借りに行った。本当は、車をそのままレンタカー会社の駐車場に置いておき、明日の早朝に取りに行けば良いのだが、営業時間外は出入り口の門を閉めてしまうというので、しかたなく駐車場を出た。そして、そこから家の近くに車を停めるまで1時間を要した。歩いて15分近く歩けば、かなりの確立で路上駐車できるところが見つかるのだが、少し車に慣れることも必要かと思い、まずは自宅近くまで運転して来たのである。

でも、まったく空いていない。一台の隙間もないということはどういうことだ。ドイツ人の友人が言っていたが、車が動いている時間は、その寿命の中で、わずか5%で、残りの95%は止っているらしい。確かにそうかもしれない。空いているところを探して何度も街の中を走り回るのは、燃料と時間の無駄である。偶然にも空いているところがあったが、23時まで駐車料金がかかる場所だ。金額にして800円程度だが、もったいないのでやめて、別のところを探すことにした。そして、いつも行くスーパーへの道は、いつ通っても絶対に空きがないのだが、期待せず通りに入ってみた。

天からの思(おぼ)し召しなのか、狭いながらも一台分が空いているではないか。ただ、大型の車の先だったのでよく見えなかったのと、空いているなんて思わなかったので、勢い余って通り越してしまった。すぐ後ろには車が一台ついてきている。後進して、無理にでもそこに入れようかと思ったが、気の弱い私は、一瞬ブレーキをかけただけで、駐車場を探しているような素振りなども見せずに、そのまま進んでしまった。実に情けない。もう一周してきたら、きっともう別の車に取られているのだろうなあ、と思いつつ、一縷(いちる)の望みを残し、もう一度、回って来ることにした。

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