理念 建築 略歴 連絡
文章 視察 還流独歩 大福企画
還流独歩

語学試験と禁酒 その1 2011.07.18

世の中では、嗜好品を一定の期間、止めることが話題になることがある。最も典型的な例は、「禁煙」と「禁酒」だろう。治療か何かの目的のために、食べてはいけないことを「禁食」というが、自ら食べない場合は「断食」となる。調べてみたら同じように、「断煙」とか「断酒」という表現もあるらしい。わずか一文字だが、「禁」ではなく「断」の方が「完全に断つ」という意味合いが強くなる気がする。実際、煙草やお酒をまったく飲まないことを指すようだ。

なぜそんなことを書いたかというと、先日、資料を整理していたとき、カールスルーエ大学から送られて来た語学試験の手紙を見つけたからだ。試験日は1999年3月15日と記されている。もう12年も前のことだ。その当時、私はケルンに滞在していたため、試験の前日に、シュトゥットガルトへ移動し、そこに住む友人宅に泊めてもらったのである。それまで毎日、欠かさずアルコールを口にしていた私は、一晩だけとはいえ、初めての禁酒を体験することになった。

実につまらない話が続いて恐縮だが、その日は、友人宅に遅く着くことになってしまったため、食事はどこかで先に済ませて来たはずだ。確か手ぶらで行ったにもかかわらず、友人が寝酒のワインでも勧めてくれるかもしれないと思っていたが、疲れているので早めに就寝すると言って寝室に行ってしまったので、その日はお酒を飲まない夜になった。明日の試験のことも気になったが、アルコールを飲まない日がやって来たことは逆の意味で新鮮だった。

そこから先のことは、実はほとんど覚えていないので、おぼろげな記憶を頼りに書くと、翌日、シュトゥットガルトを早朝に出発した私は、午前9時から始まる試験を受けた。問題はそれほど難しくなかったように思う。そして手元に残っているもう一つの手紙には、1999年4月12日(月)から始まる大学入学のための語学講座を受けられると書かれている。確かこのときは、試験を終えたその日に結果が発表されたのではなかったかと思う。簡単に言えば合格したのである。

« »