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天売・焼尻島への旅 その1 2011.08.03

昨日の朝、4時過ぎに起床し、天売・焼尻島(てうり・やぎしり)へ行くため、6時過ぎに羽幌(はぼろ)へ向けて出発する。本当は今日、東京に戻る予定だったが、なぜか1泊2日で、日本海に浮かぶ小さな離島に行くことになってしまったのである。北海道には人が住んでいる島が5つある。有名なのが、稚内からの航路で結ばれている利尻・礼文島と、道南の江差沖に浮かぶ奥尻島だ。それらに比べると、天売・焼尻島の知名度は、どうも低いようだ。オロロン鳥と呼ばれるウミウが生息する地として、あまりにも有名なのだが、そう感じているのは北海道に住んでいる人だけなのかもしれない。

実は数年前から、天売・焼尻に行ってみたいと漠然と思っていた。ただ、どうしても行きたいという積極的な気持というよりかは、訪れたことがないので、どんなところか見てみたいという消去法的な感じと言った方が良いかもしれない。両島には失礼な話で恐縮だが、小さな島に行くということは、日常とはかけ離れた生活空間を体験することであるから、それに触れてみることによって、何か新たな発見や大きな刺激につながる可能性もあるのではないかと思うのである。離島に行くのに、そんなに難しいことを考える必要もないのだが・・・。

フェリーが出ている羽幌までは約200kmの道のりだから、早朝に出発すれば二島のうちのどちらか片方には日帰りも可能である。でも折角行くなら、最低でも一泊はしたいものだ。ただ、その日を事前に決めてしまうと、天候が悪かったり、海が少し荒れても行かざるを得ない。近いからこそ、ふとした思いつきで出かけたいが、そうなると今度は本気度が低くなるから、その機会を失ってしまい、結局、先送りをしてしまうものなのだ。実に自分本位で我が侭だとは思うが、思い立ったが吉日という諺もあるように、近場の旅行など、そんなものではないだろうか。

前置きが長くなったが、石狩市の望来(もうらい)とうところから日本海側に出て、雄冬(おふゆ)、増毛(ましけ)、留萌を抜けて、羽幌港のフェリー埠頭には10時半前に着いた。途中で給油したり、少し手前の小平町にある「にしん番屋」などにも立寄ったから、4時間くらいかかった。港の無料駐車場には車が結構止まっている。全部で50台くらいだろうか。観光案内所で宿の一覧表をもらう。予約はしていないというので、事前に得ていた宿の情報と照らし合わせて、まずはお勧めらしきところに電話したら満室だった。二軒目は臨時休業で、三軒目で決まった。

宿の一覧表には、天売島に11軒、焼尻島に3軒の宿が載っている。島にも観光案内所があるから、着いてから決めるという大雑把な旅でもよいが、夏のかき入れ時期だし、船に乗る前に宿が決まっていた方が気が楽なことは確かだ。高速船は11時40分に出発した。沖に出たときの速度は時速50kmくらいだろうか。かなり速いが、港からカモメがずっと追いかけて来る。そのうち3羽が、25km先の焼尻港まで船の後尾に乗ったままであった。鳥とはいえ、これは完全な無賃乗船である。船は10分ほど停まったあと、天売港に向けて再び走り始めた。

加筆訂正:2012年1月24日(火)

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