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還流独歩

講習の夏 2011.08.18

今日、初めてCAD講習なるものを受けた。コンピュータを使った作図の勉強のために、わざわざお金と時間を使うことに疑問を感じている人は、おそらくたくさんいるのではないかと思う。普通はCADの経験のある人から、適宜、教えを受けつつ、日々の中で触れていれば、誰もがそれなりに描けるようになるものだし、私もそうして来た人の一人だから、費用を払って講習を受けることには少なからず抵抗はあった。

これまで、AutoCAD、ArchiCAD、MicroStationを経験して、いまはそれ以外の汎用ソフトを使用している。図面を描くのにも、それほど苦労はしていない。しかも世の中には数多くの参考書が出回っているから、それを見ればだいたいのことはわかるようにできている。しかし、何ごとにも基本というものがある。いろいろな習いごとや、種々のスポーツとCADを同列にするのは見当違いかもしれないが、やはり土台となるものは押さえておきたい。

そして話は少し逸れる。冬になると、スキー三昧の日々を過ごしていた学生の頃、知人が、これまでスキーをやったことがない小学生の女の子を連れて来た。どうしようか悩んだあげく、スキー教室に入ってもらうことにした。スキーというのは不思議なもので、一緒の速度で滑れない人といるのは苦痛なのだ。それは他のスポーツも同じかもしれないが、板に乗って気持良く下ることが面白いわけだから、それを目の前で待つような相手とは一緒に滑れない。

小学生の女の子には申しわけないが、スキーを教えるために来たわけではないので、手ほどきをするつもりはないし、一緒に滑ることも不可能だ。その子の授業風景は少ししか見ていないが、確か三日間ほど、学校で一から滑りを教わったはずだ。そして、数日経ったときの滑りを見てみたら、驚愕するほどの上達をしていた。もちろんボーゲン程度の滑りだが、滑る姿は確実に誰かに教わったであろうという基本の形が完全にできていた。軽斜面なら、もう一緒に滑ることができそうだ。

女の子の面倒も見ないで失礼なのだが、そのときに私は基本というものが、いかに大切なのかを端で見ていて強く感じた。他にも小学生の頃、少し弱そうな感じの同級生が、急に空手を始めたのだが、数か月くらい通ったら、型を決められるようになり、突きのときの姿勢に素人のような動きのぶれがまったくなくなっていたことを、これを書きながら想い出した。何も知らない状態から最初に基本を学ぶことは、とても大切なのではないかと思う。それはいくつになっても同じかもしれない。

運動と頭を使うCADは違うと言われればそれまでだが、今日は、いままで知らなかった作図のための前提となる基本情報の入力について学ぶことができた。冒頭に参考書でも勉強などできると書いたが、こういうことは、お金を払って、そして時間も強制的に決められてこそ、学べるものではないかと思う。そして、そこで得られる情報は多くはないかもしれないが、基礎を支える根底となる情報を教えてもらえることが有難い。これでCADの作業環境を少し改善することができると思うので、半日とはいえ、とても有意義であった。あと数回、通う予定にしている。

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