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還流独歩

危険な街角 その1 2011.09.18

昨日のお昼前に、近くの食料品店で買物を済ませて外に出た。搬入用の商品を運び込むためのコンテナが堆く積まれていたので、それを迂回するように歩道に出たら、店の外壁に並べられた商品の前に、20歳くらいの若い男性と、その母親らしき、やや年配の女性が立っているのが目に入った。普段なら、何も気に留めることはない光景だが、奇妙なのは、その女性が小声で「た、たすけて」と妙に怯えていたことである。男性の方は声を上げることもなく、いたって普通に接しているように見えたし、親子のようだったから、この女性の方が挙動不審なのかと見知らぬ振りをしかけた。

歩道を10mほど歩いてから、やっぱり気になったので、コンテナの陰に隠れて見えない二人の方へ、回り込むようにして近づいてみたら、店員さんが一人、女性の対応をしていた。若い男性は、真っすぐに歩けないような状態のまま、隣りの建物の陰に入り、そのまま立ち去るところだった。買物用のキャリーバックを持ったその女性の話によると、歩道を歩いていたら、いきなりその若い男性に顔の左側を思いっきり叩(はた)かれたという。そのあと絡まれて、怯えながら、お店の方へ逃げようとしていたらしい。私が目撃したのは、そのときだった。

もう少し大きな声で叫んでくれれば、すぐにでも助けられたのだが、本当に恐怖心を感じたときには、声を出せないのだろう。その女性の顔は赤らんでいたが、擦り傷などはなかった。ただ、かなり動揺していて、しかも足が悪いらしく、もし倒されていたら大けがをしていたかもしれないと、店員さんと私に話してくれた。誰かが警察に通報してくれたようだが、不思議な一瞬だったので、その若者を捕まえることはできなかった。おそらく行方を探せばすぐに見つけられたのではないかと思うが、暴力を振るわれた瞬間を見ていないので、無理に追うことを諦めてしまった。

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