東京ゲートブリッジ その2 2011.09.25
新木場駅から1時間近く歩いただろうか。若洲公園にようやく着いた。おそらく距離にして4kmくらいあるかもしれない。駐車場を抜けてキャンプ場に入ると、予想以上に人がいる。テントを張る場所も、もうほとんどないようだ。しっかりと見たわけではないが、家族連れが大半で、友人同士という人たちも見かけた。そのキャンプ場から海岸へ出ると、防護柵には釣りをしている人たちが隙間なく並んでいる。これほどまで人が来る場所だとは思わなかった。
ここからは独特の形状をした東京ゲートブリッジが実によく見える。水平に近い橋の上下部分に、台形のような巨大な構造体が張り付いている。その形状が恐竜のように見えるため、すでに「恐竜橋」という愛称が付けられている。300mの航路幅と50m以上の有効高を確保するために、橋の中央部を支える両端の基礎の間の距離は440mと長く、しかも羽田空港に近いために最高高さを91m以下に抑えるという厳しい条件を解決した形である。
この橋のたもとにいると、羽田空港を離発着する飛行機が橋がよく見えるし、その音も聞こえて来る。橋の真下には防潮用のブロックが敷かれ、そこでも磯釣りを楽しんでいる人たちがいる。ここは釣りとキャンプを手軽に楽しめるところのようだ。他にも、サイクリングコースが完備されているから、楽しみ方はいろいろとありそうだ。駐車場に止まっている車のナンバーを見ると、習志野が多いが、千葉や所沢など、東京近郊からも来ている。
ところで、この橋の仮称は「東京臨海大橋」であった。それが公募により「東京ゲートブリッッジ」になった。確かに「門」を示す「ゲート」というのは、ほとんど日本語になっているし、橋の形状にも相応しい。名称としては親しみやすく、また覚えやすさの点でも非常にわかりやすいとは思う。ただ、何でも英語を使えば良いというものではないだろう。東京は国際的な都市だから、英語を使うのもわかるし、英語圏以外でも同じような事例は数多くある。
実際、日本語で漢字標記にすると堅い印象を与えるかもしれない。でも、いつも思うのは、何でも英語が良いのだろうか。自分の事務所の名前を棚に上げて甚だ失礼な話だが、例えば都内であれば、歴史ある永代橋などは、やはり英語に置き換えることは無理だろう。新しくできる大きな橋は英語になるというのも理解できないわけではないが、役所的には英語を使った無難な名前に落ち着かせたいという意識が働いていることは想像に難くない。
ともかく、巨大な土木工事の一つである完成前の東京ゲートブリッジを初めて見ることができた。橋を掛けたり道をつくるというのは、建築と違って、また違う世界であることを実感した次第である。
加筆訂正:2011年10月17日(月)