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還流独歩

楽しい日本語 その1 2011.10.09

昨日に引き続いて、今度は日本語の多様性について少し触れたい。といっても、昨日の最後に少し書いた 外来語を都合良く変化させたり、ことばを適度なところで省略してしまうという面ではなく、その豊富な擬音語や擬態語についてである。これに関しては、多くの方が触れているようなので、目新しい内容ではないかもしれないが、日本語以外の言語を習得していると、日本語が持つ擬音語や擬態語の種類の多さに驚かされる。

例えば、「飲む」という行為には、擬音語であれば、「ごくんと」、「ぐいっと」、「がっつり」などが挙げられるし、擬態語であれば、「ごくごく」、「ぐびぐび」、「がぼがぼ」ということばで、その様子をより具体的に表すことが可能だ。こういった表現は、ドイツ語、あるいは特にラテン語を使った言語などには、ほとんど見られないのではないだろうか。いや確かに、それらの日本語を訳そうにも、適当なことばが見つからないように思う。

さらに、ドイツ語には日本語の擬態語に見られるような繰り返しを持つことばを見つけられない。もしかしたらドイツ語の本や漫画にはあるのかもしれないが、普段は建築関連の本などを読むことが多いので、いまは適当なものが見つからない。日本語だと「食べる」という行為に、「がばがば」とか「もぐもぐ」、あるいは椎名誠が使っている「わしわし」を付けると非常に臨場感が出るし、その光景さえも浮かんで来る。

「喋る」にしても、「はきはき」とか「ぼそぼそ」、「ぺらぺら」くらいならすぐに思いつく。これらをドイツに直すためには、おそらく副詞を付けるしかないのだろう。「はきはき」は「明瞭に」、「ぼそぼそ」は「弱々しく」、「ぺらぺら」は「流暢に」と置き換えられるのではないだろうか。おそらく英語も同じではないかと思われる。文法が日本語に近い韓国語はどうなのだろうか。

その昔、擬態語のように繰り返すことばを当てる問題を出す「連想ゲーム」というテレビ番組があった。子供の頃は何気なく見ていたけれど、ドイツ語を習ったり、実際に使う生活を始めてから、日本語の持つ多様性や柔軟性に感心するとともに、その奥深さも少し理解できるようなった気がするのである。

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