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還流独歩

芸術に麦酒 2011.10.29

昨日のことだが、午後になって友人からメールが入り、ケルン見本市会場で開催されている「ART FAIR」の券が何枚かあるので、一緒に行かないかと誘われた。こういうときには断わってはいけない。多少疲れていても、行動に移せば、何がしかの示唆などが得られるから、一緒に行くと、すぐに返事を書いた。

何の予備知識もなく訪れた「ART FAIR」には、予想外にもたくさんの人たちが来ている。中に入ってみてわかったことだが、要はドイツ内外のギャラリーが、芸術家たちの作品を展示しているのである。毎年、春に開催される「ART COLOGNE/アート・コローン」よりは規模が小さいが、その分、ゆっくり鑑賞ができる。

芸術というのは難しいもので、個人的に良くわかる面と、理解できない面を持ちあわせている。芸術作品の種類にもよるが、考えることが大切なのではなく、感じるものではないかと思うので、ともかく展示されている数多くの作品を、友人たち5人と一緒に見て回った。

誰もが芸術に対して造詣が深いわけではないようだが、ある作品を見て、感じることをいろいろと話すのは素直に楽しい。友人の一人が、「鑑賞するにはビールが必要だな」と言って、330mlの瓶ビールを買って来た。それを飲みながら、多少の酔いを感じつつ、芸術に触れられるのは実に素晴らしいことだ。

個人的には写真が好きなので、たくさんある作品の中でも、そういった分野の方に目が行ってしまう。あるいはデザイン的に優れた表現力を持ったものが気になる。今回、私の感性を、ものすごく刺激してくれるものはなかったけれど、こうした日常の延長線上に、気軽に芸術を楽しむ場があるのは、ある意味、羨ましい。

2時間近くかかって、すべてを見終わったあと、市内に戻って遅い夕食をとった。そこで盛り上がった話題は、芸術ではまったくなく、会社の面接での出来事であった。私を除く5人は、全員が同じ職場なので、そんな話で、時折、爆笑が起きたりもした。 会社の同僚同士の話というのは、国が違っても同じなのだろう。

気がつけば、深夜12時を回っている。ビールが適量に入っていると思われる友人の車で、近くまで送ってもらった。芸術と楽しい語らい。実に貴重な時間である。

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