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還流独歩

12月の長い夜 その3 2011.12.05

そんなことまで頭を使うとは思っていなかったので、あまりにも予想外の展開になってしまったが、中緯度地帯と、北極や南極に近いところでの日照時間の変化は、どうやら大きく違うということがわかって来た。それなら、もしかして北緯23.4度に近いところも同じかもしれないと思うのだが、いまはそこまで頭が動かない。

話を戻して、「Enontekiö/エノンテキエ」の日の出と日の入の時刻をよく見て考えると、不思議な現象が起きていることがわかる。例えば、日の出が02:27で、日の入が00:17というのは普通に理解できるだろうか。同一の日において、日の出の時刻の方が日の入りよりも遅いのである。逆に言えば、日の入の時刻の方が、日の出よりも早いということである。そんな現象が地球上で起きるとは、まったく知らなかった。

「西から昇ったお日様が東へ沈む」という某漫画の主題歌よりもさらにややこしい話かもしれないが、これは結局のところ、日付が変わった零時以降に日の入が先にやって来て、束の間の夜を経て、またすぐに日が昇ることだ。普通なら、日の出が先に来て、日の入があとからやって来るのだが、白夜の時期は場所によって違うようだ。これは本当に新しい発見である。

実際、2012年5月17日(木)の日の出と日の入時刻を調べてみると、日の出は02:50分だが、日の入の時刻のところは「ない」と表示される。そう言われるとやけに気になるのだが、これはつまり、5月17日(木)中に日が沈むことはなく、翌日になるということなのだろう。そして確かに翌日の5月18日(金)は、日の出が02:43で、日の入が00:02となって、日の出と日の入の時間が逆転することになる。これもまた実に難しくてよくわからないが、そういうものだと理解しよう。

地球の地軸は、公転面に対する鉛直軸から23.4度傾いているから、こういった現象が起きるのだが、それにしても実に面白いと思う。しかもこの場合、夏至に向かって日の出と日の入の時刻が、なぜか午前1時25分に向かって近づいて行くというも悩ましい。零時ではなく、一時間半ほどずれているというのは何故なのだろうか。それとも夏至のときに最も太陽高度が下がる時間は零時近くになるのだろうか。誰か教えて欲しい。

こんなことはいままで考えたこともなかったけれど、少し調べたことはもしかしたらとても有意義なことだったのかもしれない。ただ、これが何かの教養として活かせることなどほどんどないだろう。説明するのはやけに難しいし、聞いたところで何の役にも立たないことだ。それでも何だか地球の面白さを感じてしまう。

わずか23.4度の傾きでしかないけれど、これが北極圏や南極圏に白夜と極夜をつくりだし、多くの地域で毎年、春夏秋冬がやって来て、そして大気や水といった大きな循環や流れをも生み出しているのだと思うと、宇宙の神秘さえ感じてしまう。地球は大きいけれど、広大な宇宙から見たら、ほんの小さな惑星に過ぎない。そこに、ありとあらゆる多様な生物が生きている。人間同士も仲良くしたいものだ。そんなことを考えてしまう。

2011年の12月の長い夜は、こうして過ぎて行くのであった。
 
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