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新春水泳 その2 2012.01.02

新年二日目は、新木場駅から徒歩10分くらいのところにある「BumB東京スポーツ文化館」のプールへ行く。こちらも朝9時からの営業なので、それに合わせて8時半過ぎには新木場駅に着くようにした。この施設は1976年に開館し、「夢の島総合体育館」という名称で運営されていたようだが、7、8年前に行なわれた民営化の影響なのか、2004年4月に、スポーツ以外の文化や学習、宿泊といった新しい施設を備えて生まれ変わったということである。

この新しい「BumB」という名称には、「文武両道」という意味が込められているらしいのだが、何だか微妙な呼び名のような気がするのは私だけだろうか。というのは、「どこに泳ぎに行って来たの?」と訊かれたときに、「ブンブ」と答えても、その存在を知っている人以外は何のことかわからないだろうし、仮に「東京スポーツ文化館」と言っても、どこにある施設なのかさえも見当がつかないに可能性が高いに違いない。

話はさらに脱線するが、「BumB」に使われているアルファベットの「B」が、ドイツ語の「ß/エスツェット」に似ていたり、小文字の「u」だけが赤だったりするところが妙に気になる。利用させてもらう側が、こういった一方的な意見を言うのは甚だ失礼だし、おそらく検討に検討を重ねた結果の名称だということも理解しているが、もう少しどうにかならないものかと思う。でももしかして、公募だったらすみません。

さらに付け加えれば、最近、あちこちの公共施設が新しい名称に変わっていることも解(げ)せない。昨年行く機会があった「江東公会堂」は、「ティアラこうとう」という名称になっている。個人的には「ティアラ」も、ひらがなの「こうとう」という表現も理解に苦しむ。ウィキペディアで調べてみたら、ティアラ(Tiara)とは、頭頂部につける装飾品のことで、冠の一種だと書かれている。それがなぜに公共施設の名前につけられるのだろうか。

話を戻そう。「BumB」に入館すると、受付の方が丁寧に挨拶をしてくれた。券売機で300円のプール入場券を買う。施設は古さを感じるが、それほど気になるほどでもない。それよりもプールまでの動線が気になった。入口を入って左に曲がり、その先を右に曲がると逆方向へと上がる階段があるので、それを昇り、次に右に曲がって、そこで入場券を渡す。そこで靴を脱いで入ると、プールへは、また階段を下りるのである。複雑ではないが、ややこしい。

このプールの問題は一般の人が使えるコースの数であった。全部で、7コースあるのに、5つが貸切で、もう一つは水中歩行用専用なのだ。つまり、泳げるコースは一つしかない。わざわざ電車に乗ってやって来ているのに、一般開放が1コースしかないというのは、あまりにもひどい。小学生くらいの子も含めて、25mコース一本に5人くらいが泳いでいる。泳ぐ前に、監視員の女性に、いつもこういう状況なのかと訊いたが、よくわからないような返事が返って来た。

私もそれほど理不尽なことを言うつもりはないが、せめて2コースくらいは、一般の人用に空けてもらいたいと思う。平泳ぎの人もクロールの人も、1コースに6、7人というのは多過ぎるだろう。こういうときは、気分が乗らないものなのだが、他の人の邪魔にならないように泳ぎ始める。そうしたら、かなりの方が先を譲ってくれるのだ。私も別に乱暴な泳ぎなどしないのだが、コースの端に来ると私を先に行かせてくれるので実に有難い。

20分ほどすると、それまで泳いでいた人たちがほとんどいなくなったので、さらに泳ぎやすくなった。結局、45分くらい泳いだろうか。最初に入って来たときには、ここに来たのは失敗だったかと思ったが、朝9時の開館に合わせて来た人が多かっただけのことなのだろう。最後に、監視員の女性に挨拶をして出た。一般の人が泳げるコースは少なかったけれど、気持良く泳げたように思う。

最後に付け加えたいのだが、先述したように、この「BumB東京スポーツ文化館」は宿泊施設も併設している。少し調べてみたところ、利用者かなり好評を得ているようだ。新木場駅からは少し歩くが、京葉線だけでなく有楽町線も乗り入れているから、また違った形での利用もお薦めできるのではないかと思う。次回、プールを利用するときには、貸切のコースがどれくらいあるのか訊いてから出かけることにしよう。
 
▶ BumB東京スポーツ文化館

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