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還流独歩

保温の効果 その1 2012.02.13

昨年、三月に竣工した住宅の状況を確認しに行く。いわゆる一年目点検である。施工を担当して頂いた建設会社の方と一緒に訪問するのが一番良いのだが、日程を調整するのもやや難しいし、竣工後も連絡は頻繁に取っているので、現地で顔を合わせるほどのことでもないかと考えた。ましてや数日前に、その施工会社の社長と東京で会食し、楽しい語らいの時間を過ごしながら、気になる点は、おおまかに伝えてある。むしろ今回の訪問は、真冬の温熱環境がどのような状況なのかを実測し、自らもそれを体感することが目的である。

「太陽と家族が交換する住まい」と名付けたこの住宅は、まず第一に、熱損失を最小限に抑えるために、凹凸のない直方体の空間を基本とし、それに片流れの屋根をかけた形態をしている。また、通常の住宅ではあまり見かけることのない大きな開口部を4つ南西側に配置し、日照時間が少ない曇りの日でも、昼間は人工照明に頼る必要のない明るさを確保するとともに、冬の日射を適度に取り込むことで、自然暖房としての役割を持たせることも大きな目的の一つと位置づけている。また、室内はおおらかな温熱環境を実現するために、間仕切りを可能な限り少なくしている。

結論を先に言うと、予想を上回るくらいの心地良い暖かさが実現できていたと思う。いや、建築主の言動を敏感に捉えて判断すると、私の都合の良い独りよがり的な勘違いなのかという不安も完全には拭い切れないのだが、室温と放射温度計による測定結果は、この家が持つ熱的性能を極めて的確に示している。もちろん良い面だけではなく、それと同時に、問題点も浮かび上がって来た。こういった不特定多数の方が読む可能性が極めて高いところには、できるだけ良いことだけを書くべきなのかもしれないが、気になっている点については、正直に触れておきたいと思う。

実測時の条件と測定から得られた考察、そして測定結果を以下に示す。なお、使用した温度計は、機器本体とは別に、約3m弱の電線がついており、その先の感知器で少し離れたところの温度も測れるようになっている。この機能を使えば、外気温と室温を同時に測ることも可能だし、あるいは家の中の上下階での温度差も確かめることができる。実際、表示される温度がどの程度の正確さなのかまではわからないが、いままで使っていた感じでは、特に問題ないと思われる。

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