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還流独歩

同期な夜 その2 2012.03.15

私もそれなりの期間、同じ組織に属していたから、彼らの言い分はとても良くわかってしまう。その内容をここに書くことはできないけれど、一つだけ挙げられるとすれば、ある部署に中堅の設計者が少ないことが問題らしい。そんな背景もあってか、また一緒に仕事ができたら嬉しいというようなことを言ってくれたことは、ただの社交辞令かもしれないが、仮に嘘だったとしても実に有難いことである。特に日本の社会において、同期との関係というのは重要だと思うし、こうして長いつながりになったりするものなのだ。

そういえば、1990年の初めまで続いた泡景気が終焉を迎えたあと、どの会社も新卒の採用数を極端に減らし、就職氷河期を迎えてしまった。だから、おそらく多くの会社で、私の数年あとからの人材が足りない状況に陥っているのではないだろうか。私も泡景気のお陰で就職できたという一面があるから、あまり声を大にしては言えないのだが、本来なら長期的な視点に立ち、景気に左右されることなく、毎年、ある一定の人数を採用するべきなのに、世代間で社員の数に大きな偏りがあるのは、会社という組織の長期的な運営を考えると、おそらく問題が生じて来ると思う。

そもそもその当時から、ある時期を境に新人が誰も入社して来なくなってしまったことが問題になっていた。私の後輩の一人は、年に何回か行なわれる歓送迎会の予約や、お昼のお弁当を注文する係から何年も抜け出せずにいた。だから私や数年上の先輩たちと手分けして、手伝ったりしていたような記憶が残っている。会社というのは不思議なもので、仕事ができる中堅ばかりがいてもうまく回らない気がするのだ。取り締まる役がいて、現場がわかっている人が存在し、対外的に顔の広い人が外へ出て行き、実務をきっちりこなす役と、そして次の世代が必要なのだと思う。

おそらくそれは、日本で長く見られたような終身雇用制度であっても、あるいはそうではない場合であっても、もしかしたら同じかもしれない。私は大きな会社を経営しているわけではないから何の説得力もないけれど、組織には、適度な年齢の幅と、それに見合った均等な人数が必要ではないかと思うのだ。もちろん、そうではない場合でも、利益をたくさん上げている会社はたくさんあるだろうし、経営状況が良い組織というのは数限りなく存在するに違いないけれど、今日の同期たちの話を聞くと、会社にとって、適度な年代の幅というものが大切なようにも思えてくる。

そんな話をし続けると、また長くなってしまうので止めておこう。ともかく、久しぶりに以前の会社へ顔を出し、同期ともいろいろと議論することができた。今日も心より感謝である。

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