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茶道と教養 2012.06.28

今日、とあるきっかけから、茶室を併設したギャラリーにお邪魔する機会を頂いた。茶室そのものも良かったが、初めてお会いするお茶の先生からお聞きした話がとても印象深かった。短い時間に含蓄のある内容をたくさん話して頂いたのだが、その中でも次のことばに深い共感を覚えた。「教育と教養は違う。教育は学校で得られるけれども、教養は自ら求めないと身に付かない。教養とは文化そのものでもある。いまの日本には、それが欠けている」。

「第二次世界大戦後、日本は急速な高度経済成長を遂げてきた。そして、教育に関しても極めて高い水準を誇るまでになった。無論、その内容の良し悪しについては賛否両論があるけれど、誰もが平等に教育を受けられるという面においては、とても優れている。しかし、それと引き換えに、教養というものを失ってしまったのではないか。それが、いまの日本の現状をつぶさに表しているように感じられる」。そんな話だった。

そういう私も、教養があるかと尋ねられれば、返答に窮してしまう身ではあるが、この先生の言うことは、良く理解できるようにも思う。ちなみに、「教養」ということばを英語に訳すと「Culture/カルチャー」になるそうだ。ドイツ語だと「Kultur/クルトューア」となる。まさに、そのお茶の先生が仰っていたことである。日本にも文化は存在してるけれど、それが失われつつあるということだろうか。

果たして、自分にとって教養とは一体なんなのであろう。そのことばが、頭を何度も過(よぎ)る帰り道であった。

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