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還流独歩

人生の階段 2012.11.08

人の生き方の例えに、階段というものは存在するのだろうか。簡単に言えば「人生の階段」である。その階段を昇って行くことは良いことなのだろうか。あるいは下ることは良くないことなのだろうか。階段の途中や踊り場で、立ち止まってはいけないのだろうか。

確かに昇るとか上がるという表現は、たいていの場合、良い意味で使われることが多いように思う。「昇進」とか「昇格」ということばにも「昇」という字が使われているし、会社や、いろいろな組織では、人の上に立つという表現もあるから、これは世界共通のことのように思う。

逆には「降格」という表現もある。できれば、そういう目には遭いたくないという人が、世の中のおそらく大半を占めるのではないだろうか。もし仮に、私自身が大きな組織にいて、そういう境遇になったとしたら、それなりに悩むだろうし、いろいろと考えたりもするだろう。

でも、それが人生としての階段を下がることと同じ意味かというと、そうは言い切れない気もしたりする。そんな立場に立たされたことのない、お気楽人間の発言かもしれないけれど、うまく行かないときの方が、より大きな糧を得られることもないとはいえない。いまにして思えば、自分自身がそうだった気もする。

いまも、そんな上下する状況から脱してはいないけれど、人にはきっとそれぞれの階段があって、緩やかな人もいれば、急峻な人もいると思う。あるいは穏やかに下る階段を進む人もいるのかもしれない。もしかしたら階段ではなく、平坦な道を進む人もいるだろう。

では、いまの自分はどうなのだろう。正直に言えば、少しでも良いから登り坂を歩みたいとは思う。それは自分の努力だけでどうにかなるわけではないかもしれない。そんな問いかけなど、何の意味もないのかもしれないけれど、なぜかそんなことを考えてしまったりするのである。

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