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還流独歩

夕張と石炭 その1 2012.12.23

昼過ぎ、車で夕張へ向かう。数年前に訪れた炭坑住宅の改修事例が、どのようになっているのかを確かめたくなったからだ。車で40分ほどの距離である。今日は晴れていて気持が良い。夕張市に向かう道は、その手前で登り坂になり、最後のトンネルを抜けると市内に入る。この峠道は、以前はかなり急坂で、ここに来ると、なぜだか気持が沈んでしまうくらいの独特で陰鬱な雰囲気があったが、いまは道が付け替えられ、幅も広くなったから快適である。

最初に炭坑住宅を見に行く。改修事例は二棟に増えていた。どちらも宿泊体験用だと聞いているが、この時期、借りる人もいないらしく、使われている気配はなかった。ただ、玄関周りは除雪が行き届いているから、管理はされているようだ。その上にある平屋の炭坑住宅には、数年前まで、住んでいる人がいたが、もはや除雪も途中までしかされておらず、もう誰も住まない雪に埋もれる廃墟となっていた。

そのあと市内を少し見て回る。積雪はすでに1mくらいはあるだろうか。車道の脇には高さが1.5mくらいの雪の山ができている。場所によっては2m近い。小学生の頃、親戚が住んでいたところにも行ってみたが、もはやどこだったか分からなかった。そのあと、某所にて食事を済ませる。6席しかない小さなお店である。客は私一人。実に緩やかで静かな時間が過ぎて行く。そのあと小学生の女の子と、その父親と思われる二人が入れ違いに入って来た。

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