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還流独歩

なんもさ文化 その2 2012.12.28

話は大きく変わるが、北海道の慣習として、よく引き合いに出されるのが会費制の結婚式である。いまはどうかわからないが、おそらくまだほとんどの場合、一律の会費をもらう方式をとっていると思う。つまり、招待制ではなく、「来れる人は来て欲しい」、あるいは「お祝いの席に是非参加を」というようなことなのだろう。内地(本州)の人には理解できないかもしれないが、北海道に根強く残る生活文化の一つだとも言える。それがいまの実社会に相応しいかどうかはわからないけれど、お祝いの席の会費は抑えて、できるだけ多くの人に参加してもらって祝福するというような気風がいまも残っている。

話は戻って、気兼ねない相手が遊びに来たときに、「飯、食ったか?」「これからつくるから、食ってかねえか?」というような展開は良くありがちだ。いや、いまはそんなことはないのかもしれないし、札幌のような日本で4番目の都市では、そういった関係も希薄になっているのかもしれないが、互いに裏を詮索せず、遠慮の要らないつながりというのは、相手によるとはいえ、北海道には、まだ根強く残っているのではないだろうか。実際、内地(本州)から来た旅行者たちが、北海道人の馬鹿なまでの開放的な人柄に驚き、また受けた心遣いに感謝するという話は、いまだに聞くことがある。いや、それは北海道に限ったことではないとは思うけれども…。

日本で見かける世界地図は、当然のごとくアジアが中心だが、欧州の地図では日本は右端に描かれている。まさに極東なのだ。その中でも北海道は、地の果てと言ってもよいくらいの場所にある。ロシアという大陸を背にした、小さくて大きな島、北海道。そこからアメリカまでは遥かなる太平洋があるだけだ。そんなところに住まう人たちだからこそ、「なんもさ」という許容と優しさが育まれて来たのかもしれないとさえ思う。郷土に対する愚直なまでの誇りを私自身もずっと持ち続けたいし、いつか何らかの方法で、恩返しのようなことができたらという気持を、心の片隅にでもよいから置いて置こうと思うのである。
 
加筆訂正:2013年1月11日(金)

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