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還流独歩

住宅見学と敷地偵察 2010.08.22

昨日は金沢文庫で建設が進んでいる日本版パッシブハウスの構造見学会に行った。これまでお世話になった方も多いので、挨拶も兼ねての参加である。太陽が照りつける中、金沢文庫駅から歩いて現場に向かう。途中からの上り坂が意外に長く、汗を拭きつつ、25分くらいかかってようやく着いた。これまで何度かお会いした方も、たくさん来ている。建物の概要説明や建築主の挨拶があり、最後の気密試験にも立ち会った。家の中は人の熱気で外よりも暑かったが、一人も倒れることがないというのは、やはり建築業界の人は肉体的忍耐力があるということだろうか。

今日の日曜は、大学の後輩が設計した住宅を見学に行った。場所は西東京市である。東西線で三鷹まで行き、そこからバスに乗る。武蔵境駅から歩いても良かったのだが、昨日で懲りているので、今日はバスを利用することにした。敷地はもともと私有地でありながら、幅4m弱しかないために、近所の通り抜け道になっていた細長い路地である。設計というのはいろいろな経緯を経て進んで行くものだが、この物件は細長くしかつくれないため、建築主への提案も最初の段階で、ほぼ了承を得られたという。それでも随所に細かな配慮が見うけられて勉強になった。

そのあと、都内を西から東へ横断して、幕張方面へ某物件の敷地調査へ出かけた。京葉線の稲毛海岸駅で降りるのは初めてだ。北側に広がる住宅団地を抜け、目的の敷地までゆっくり歩いて20分ほどだろうか。既存の建物はすでに解体され、すでに柵で覆われていた。写真や資料を見ても、だいたいのことはわかっていたが、やはり現地を見に行くことは極めて大切なことである。そのあと京葉線の一つ手前の検見川浜(けみがわはま)駅まで歩く。低層の分譲住宅団地を抜けて駅へ近づくと、高層の集合住宅がいくつも建ち並んでいる。

駅前の広場では、暑さにもかかわらず、夕涼みをしている人が多い。駅前の食料品店から出てきたお父さんの手提げ袋には発泡酒が入っているのが見える。小学生くらいの女の子と一緒にベンチに腰掛けている別のお父さんは、すでに缶ビールを開けて飲んでいる。発泡酒でもビールでも何でもいい。缶を開けさえすれば、そこからは誰にも文句を言わせないお父さんの時間の始まりなのだ。そんな休日の正しい過ごし方を楽しんでいる人たちを傍観しつつ、あまりに暑いので食料品店に入り、少し涼んでから都内に戻ってきた。

汗をかいた身体をさっぱりさせようと思い、いつも行っている銭湯に立寄ると、改装工事のため9月中旬から3か月ほど休業するというお知らせが貼ってあった。銭湯はどこでも生き残りに必死なのに、全面改装してサウナも設けるというから、お客さんには困っていないのだろう。もっとも中層の集合住宅の一階にあるお風呂屋さんだから、きっとマンション経営だけでも十分な収入があるに違いない。中途半端な時間なのか、今日は大きなお風呂場に私だけである。誰もいない大きな湯船を独り占めして、汗が引くのを待ってから八丁堀を抜けて帰ってきた。

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