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還流独歩

脱皮 2013.01.02

かなり前、昆虫の「羽化」について書いた。芋虫がさなぎになって、羽化するきには羽が生えて、飛べるようになるのである。哺乳類や爬虫類、両生類に限らず、生命の進化の過程は、いずれも神秘的ではあるけれど、羽化というのは、細胞分裂を繰り返す中で成長する人間とは、また大きく違った実に神秘的な生まれ変わりであるように思う。

同じように、成長過程の中で行なわれる不思議な生命の更新が「脱皮」である。いうまでもなく、ある特定の動物が成長する過程で、体表面が剥がれることだ。特にセミの脱皮は、剥がれるというより抜け出て来ると表現した方が良いかもしれない。それまでの外皮を残したまま、内側から新しい身体が出て来るというのは、一体、どういうことなのだろうか。

もし仮に、人間が脱皮するとしたら、何かと大変なことになるはずだ。何十億人という人の抜け殻があることなど、想像するのもおぞましい。そういえば、今年の干支である蛇も脱皮するから、人間とはいえ、一年の目標を「脱皮」にすることにしよう。実に短絡的だが、いまの自分には、そんなことが必要な気がしている。

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