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還流独歩

設計事務所の役割 2009.10.12

設計に携わっている側からの、素朴で、ちょっと恥ずかしい疑問がある。設計事務所に設計を依頼する人は、いったい何を求めているのだろう(笑)。代わりに誰か答えて欲しい(苦笑)。いや、私自身だってそれに対する答えはそれなりに持っている。でもそれは設計をする側の答えであって、依頼する側の答えではない。

世の中に数多(あまた)の設計事務所がある。みんな自分のデザインや主義主張が最良の解答だと思って仕事をしている。でも一般的に言って、設計事務所に設計を依頼する人は、何か新しいこと、他とは違うもの、斬新なデザイン、人に自慢できる空間といったものを求めているのではないかと思う。おそらくきっと。

すわ製作所の眞田さんと、そんな話を何度もする。設計事務所は、建築主の期待以上に、何か新たな提案ができなければいけないのは確かだ。それは当然のことだし、もちろん期待を超えるものを提案したいとも思っている。しかもそれは、目に見える「明快な何か」であるべきだろう。でも、その答えは一つではない。

そんなことを考えていたら、いつの間にか「かくしん」という言葉に行き着いた。変換すると、「核心」と「革新」と「確信」の三つの単語が出て来る。偶然かもしれないけれど、どれも極めて大切な意味を持っていて、逆に驚いてしまった。「核心→革新→確信」。いや、その順番の大切さは良くわからないが、その三つしかないかもしれない。

設計事務所は「核心」を追求し、「革新」し続けて、「確信」することが大切なんだと勝手に思った。いや、それはどこの会社や組織でも同じだろう。言い換えれば、「革新」の方向を見間違えないようにするための「核心」を追い求め、それをずっと維持し続けることが、とても大切なんだと思う。それはいつしか、きっと「確信」に変わって行くに違いない。何だか、そう思えるようになってきた。

結局は自己暗示みたいなものかもしれないけれど、これを書いていたら、自分でも何となく気持ち良く理解し、納得できた気がする。

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