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還流独歩

ドイツの育児休暇最前線 2010.01.29

過日会った育児休暇を取得している友人は設計事務所に勤めている。奥さんの職業は何度聞いても良くわからないのだが、河川や水害に関する国の管理部門のようなところに勤務しているらしい。でも公務員ではないようだ。給与もかなり良いらしく、彼の倍近い給料をもらっていると聞いている。彼女が働き、彼が専業主夫をする方が良いのではないかと冗談を言っているくらいだ。

結婚している夫婦の納税方法や、育児休暇の取り方は私には難しく、良くわからないことが多いのだが、ともかく彼は、毎週水曜日が育児休暇日で、しかも月にもう一日、休むことができる。つまり月に5日間の育児休暇があることになる。それが二年間も続けられるのだ。

月火と二日働いて、一日子供の相手をして、そしてまた二日働いて週末休むという素晴らしい生活をしている。彼は週一回の休みを選択したが、別の取得方法として、子供が生まれてから丸二か月間の連続休暇を取ることも可能らしい。奥さんといろいろ話し合った結果、彼は毎週一回の育児休暇が二年間受けられる制度を利用することにしたという。

そして、子供が満一才を迎える2月4日の誕生日から、今度は2か月間の長期育児休暇に入るというのだ。そのうち後半の3週間はポルトガルに休暇に行くという。最初の1週間はリスボンでゆっくりして、それからレンタカーを借りて、暖かい地中海の方へ行くらしい。育児休暇中にさらに休暇とは、これは二重休暇と呼べるのではないか(笑)! ちなみに、レンタカー代が2週間で200ユーロだという。3万円もしないというのは驚愕だ。名の知れたレンタカー会社なのに、そんなに安いとは、ポルトガル価格なのだろう。

ドイツは日本と同じくらい出生率が小さくなった国の一つである。でも、育児環境の違いを聞くと、何だかうらやましいを通り越して、社会的に援助が必要な人に対する根底的な支援基盤が大きく異なっていることの重大さに気づかされる。1歳の子供がいる給与所得者で、3週間の育児休暇を取りつつ、さらに海外で2週間の休暇を取れる環境にある日本の人は、おそらく一人もいないのではないだろうか。

1歳のアーロン君が親の愛情をどう感じているかはわからないけれど、毎週一回、お父さんと二人っきりの時間を過ごすことができて、彼はきっと幸せに違いないと私は勝手に思っている。
 
加筆訂正:2010年2月6日(土)/2010年6月9日(水)

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